九州大学 基幹教育院 次世代型大学教育開発センター

物理教育ワークショップを開催しました

平成29年10月3日(火)物理教育ワークショップ「大学の物理教育におけるアクティブ・ラーニングへの挑戦」を開催しました

開催概要

開催案内(PDF) ポスター(PDF)

【テーマ】大学の物理教育におけるアクティブ・ラーニングへの挑戦

【日時】平成29年10月3日(火)14:50~18:00
【会場】九州大学伊都キャンパス センター1号館5階1502号室

【定員】第1部、第2部それぞれ70名(先着順)
【参加費】無料

【プログラム】
◆第1部 大学の物理教育における様々なアプローチ◆
【時間】14:50~16:50
【対象】物理、その他の理系科目教育に興味を持つ九大・他大学・高校教員

【講演者および講演タイトル】
原田 恒司(基幹教育院・教授)
「物理科目でのアクティブ・ラーニング ~失敗なんか怖くない~」25分

大河内 豊(基幹教育院・准教授)「基幹教育におけるアクティブ・ラーニングの実践例」25分

小島 健太郎(基幹教育院・准教授)「対話を通じて学ぶ物理 ~ピア・インストラクションの実践~」25分

小林 晋平(東京学芸大学・准教授)
「物理が苦手な学生はどこでつまづくのか ~物理が嫌われる原因といくつかの誤解~」35分

全体の質疑応答 10分

◆第2部 一般講演◆
【時間】17:00~18:00
【対象】主に大学生、大学院生、大学教員、高校教員

【講演者および講演タイトル】
小林 晋平(東京学芸大学・准教授)
「物理学の「面白い」学び方~ブラックホール・ビッグバン・次元の話と物理教育への活用~」

【共催】日本物理教育学会九州支部

開催報告

【参加者情報】
学外:42名(うち県外 12名)
学内:43名
合計:85名

【アンケート結果】

《満足度》
満足:36 概ね満足:15 どちらともいえない:2
やや不満足:0 不満足:0

《参考になった点》(抜粋)

  • 出欠、グループワークなどでmoodleを活用した講義は効率が良さそうで良いと思った。
  • 問題演習では、ピア・インストラクションを取り入れられるように出題を工夫しようと思った。
  • ピア・インストラクションの技法やアイスブレーキングなど具体的な技法。
  • 失敗を恐れないで、アクティブ・ラーニングにチャレンジしたい。
  • 具体的な実践だけでなく失敗例や改善のポイントがよくわかりたいへん参考になった。
  • ブラックホールの数式の解釈が興味深かった。
  • 見方を変えれば現在の次元すらも疑うことができることが非常に興味深かった。

《分からなかった点・もっと説明してほしかった点》(抜粋)

  • 教育はその大学によって異なる。今回の話はいわゆる国立大学レベルのものであったが、もっとレベルを落として、いわゆるF Rank大学の具体例も取り上げてはどうか。
    【原田恒司先生からの回答】今回は自分たちの実践のご紹介ということで、九州大学での実践例をお話しましたが、反転授業はいわゆるF Rank校で大きな可能性があるのではないかと私は感じています。十分な実力のない学生は、本を読んで理解することからして難しい場合があります。教科書を30分読む忍耐力もないかも知れません。でもビデオなら5分、10分と小刻みなので見れるのではないでしょうか。そして、ビデオを見ておしまいではなく、授業時間はわからないところを先生や仲間から教えてもらうことに使われるので、わからない授業を無駄に聞かされるよりも、学生にとって有意義な時間になると思います。学生の(ゆっくりであっても)確実な理解を助けるいろいろな仕組みを提供していくことが重要かと思います。
  • フリーライダーをつくらないための方法をもっと詳細に聞きたい。高校ではフリーライダーが問題になることが多いので、大学と高校では少し異なるかもしれませんが。
    【原田恒司先生からの回答】フリーライダーを作らないための方法として、私は(1)役割分担を明確にすることと、(2)グループの学習内容を各人がすべて理解するように十分情報共有を行うことがいいと考えています。各グループのメンバーの一人一人がすべて何かの役割を果たすように決めます。リーダー、ファシリテーター、記録係、タイムキーパーなどです。これを割り振ることによって、少なくともその役割を果たすことが他の人から期待されているので、やってくれます。また、学習内容もグループ内で分担して調べさせたりしています。誰かがサボると全体が困る、という状況を作ることが重要だと思います。その上で、それら別々に調べたり学んだことをグループ全体で共有するように仕向けます。具体的には、メンバーが一人でグループを代表し、そのグループの学習内容を他の人に説明する、という機会を設けます。十分理解していないと、うまく説明できませんし、それは格好悪いので、サボった人は恥をかくことになります。
  • ピア・インストラクションは学生間のばらつきが大きいと人によって機能しないのではないか。
    【小島健太郎先生からの回答】ピア・インストラクションですが、学生の知識のばらつきを生かして議論を活発化させる問題(コンセプテスト)を選ぶことが重要になると思います。知識のばらつきがあまりに大きすぎる場合は、適当な問題を検討するのが難しくなると思われます。
  • Webに類題があるかのチェックが必要ではないか?
    【小島健太郎先生からの回答】今回紹介したピア・インストラクションでは、問題を授業中に提示して、その場ですぐに回答させています。Webに類題が掲載されていたとしても、授業の進行に支障が出るようなことは起こっていません。
  • 授業成果(習得度)がどのくらいなのか、より詳しく教えていただきたかった。「うまく行っていない」現在のやり方に対してどのくらいなのか。
    【小島健太郎先生からの回答】身の回りの物理学では、期末試験や概念調査用の問題を用いた調査を行っていますが、通常型の講義との比較などは行っていないため、十分な成果測定はできていません。今後の課題だと考えています。
  • ビデオ教材を具体的にどう作っていくか。
    【小島健太郎先生からの回答】今回紹介したビデオは、PowerPointやKeynoteで作成したスライドをPC画面に表示しながら、口頭で説明を行い、PCの画面と音声を動画に同時に録画する形式で作成しています。また、説明中にPC画面上にポインタを表示することも行っています。
  • 小林先生の授業について、生徒への納得の点について、さらに知りたいと思った。
    【小林晋平先生からの回答】今回は初回ということで皆様にどの部分をお伝えしたらよいか、探りながらということもありましたので、具体例を他にも用意していたのですが、私の要領が悪くお伝えし切ることができませんでした。これから機会がありましたら、実際に模擬授業をお見せしたり、当研究室でも九大の先生方の取り組みを参考に動画を作成して、皆様にも公開したりできればと考えております。これからも引き続き深化させて情報を公開して参りたいと思いますので、宜しくお願い致します。
  • 小林先生の熱意や学生からの評価は良く分かったが、されていたことがかけ足すぎて整理が大変だった。
    【小林晋平先生からの回答】ご指摘の通り、今回は駆け足でお話することになってしまい申し訳ありませんでした。初回ということで、何か1つだけにしぼってお話しすることも考えましたが、他の先生方もALのコツのところでお話しされていたように、むしろ細かいコツがたくさんあることが本質的であることをお伝えしたいと考えておりました。飛ばした部分も含め、資料をお渡しすることもできるのですが、背景をお伝えしながらでないとあまり役に立たないかと思いますので、できましたら次の機会や、実際に模擬授業などをお見せしたり、動画の作成なども考えておりますので、そうした機会を通じてさらに続けていくということで、ご容赦いただければ幸いです。
  • 小林先生がスライドを飛ばされた部分が気になる。
    【小林晋平先生からの回答】今回は全てをお見せできず申し訳ありませんでした。飛ばした中には「目的の明確化」および「大きなストーリーを作る」点に関するご紹介できなかった具体例や、「身近な例が必ずしもわかり易い例となるとは限らない」ということ(わかり易い例=身体感覚に落とし込み易い例)、「生徒と教員の間の微妙なズレ」に関する例などがありました。今回は初めから時間がないことはわかっておりましたが、話の流れの中で数例をご紹介できればと思っておりましたので、機会がありましたらこれからまたご紹介していければと考えております。資料をお渡しすることも可能ですが、資料だけではあまり役に立たないかと思いますので、できれば別の機会にお話しさせて頂くことができればと考えております。
  • 小林先生の授業の流れ(1時間)を教えてほしい。
    【小林晋平先生からの回答】今回はモチベーションの部分に特化してお話ししましたので具体例が乏しく、また駆け足でしたので要領を得ないところが多々あったかと思います。申し訳ございません。いずれ模擬授業的なものを実施させていただいて実際の様子をご覧いただくのが最も良いかとは存じますが、授業案の参考例としては、文系で小学校教員を志望する学生を対象とした講義のために作成したものが https://ir.u-gakugei.ac.jp/handle/2309/148214 にあります。ただし教員志望の学生向けの特殊なものであることと、90分の講義を想定しておりますのでご注意下さい。なお、私の講義の基本的な流れは「宿題の解説→前回の復習→全体像の俯瞰→今日のテーマと重要性の解説→詳細の説明」という極めて伝統的な講義スタイルです。アクティブラーニングの目的は学生の脳を活発に動かすために強く興味を持たせ、力を付けてあげることですが、それは協同に限らず伝統的な講義形式の授業でも可能です。ただし学生のレベルに応じた質と量の宿題を出すことが必須でして、それができれば授業後に自主的に学ぶところまで強く興味を持たせ、能力を付けてあげることもできます。協同という意味では、その宿題をする際に学生同士で集まって相談することを奨励しており、実際に学生たちはそれを行っています。具体的な宿題などはメールを頂ければpdfファイルをお送りできます。工業高専と東京学芸大とではやり方で異なる点も多々ありますので、詳細についてもメールを頂戴できれば成功例・失敗例などをご紹介できるかと存じます。
  • 高校生(文系)にも何か伝えられるイベントがあれば良い。
    【小林晋平先生からの回答】さいわい宇宙というテーマは文理関係なく興味を持って頂くことができますので、東京・大阪で私が行って来たイベントでは文系の生徒さん、学生さんもお越し下さいます。私は民俗学や宗教学、芸術などとも結びつけた企画を行っておりますので先生方にご協力いただいて、ぜひ文系理系という枠に留まらない、大きな学問の面白さを若い方に伝えていくイベントができればと考えております。これからも宜しくお願い致します。
  • 高校物理の体系を教えてほしい。
    【小林晋平先生からの回答】あくまで私見ではありますが、高校物理の5分野(力学・熱・波動・電磁気・原子物理)において、本質の全ては力学に入っていることを学生には強調しております。力学は「位置・速度を時間の関数として求める」という目的がはっきりしておりますので「加速度を積分すれば位置・速度が求まる→加速度→加速度は力で決まる→運動方程式に入る前に静力学で力の矢印を書く練習→運動方程式で加速度を求める練習→飛び道具としての保存則」という流れがあり、それら並進運動の次に円運動に進みますが、これは単振動の背後にある運動であるということと、粒子系の次に波の話へと繋げる前段階という意味も持ちます。波は「波の式」を通じて「情報が少しずつ遅れて伝わること」および「重ね合わせができること」が本質であるということを伝えたら、その後は具体例として音と光があるだけですが、音は「両端が固定端→弦」「両端が自由端or自由端と固定端→気柱共鳴」という境界条件と定常波の関係を数学的に分類しているという背景があります。光については重ね合わせの例としての干渉縞の実験がメインですが、ヤングの二重スリット・回折格子・薄膜干渉・くさび型・ニュートンリングという5種の実験装置について,1.どの二つの光線が干渉するのか、2.経路差の求め方、3.光路差の求め方、4.反射の際に位相の飛びがあるかないかという4点について違いを述べているだけです。電磁気は工学的応用が多いため、力学のようにストレートな道筋があるわけではありませんが、最終的に発電(電磁誘導)に向かって、「静的な電場」「電流回路(キルヒホッフの法則)」「静的な磁場」について順を追っているだけだと解釈しています。スカラー場(ポテンシャル)とベクトル場(電場・磁場)の違い、それぞれの発生のさせ方、場の上での運動をやっていることには変わりありませんので、「今何をやっているのか」を毎回確認しながら講義するように気を付けています。原子物理はその他4分野とは異なり歴史的順番に配列されていますので、現代物理へ繋がる面白さがわかるようにドラマ仕立て、ストーリー仕立てで話すように心掛けております。特にこの分野は自分の専門ということもありますので、周辺の話題も盛り込んで話すようにしています。熱も各過程の分類の仕方などがありますので、今後、実際に模擬授業などを通じて具体例をお見せできないかと考えております。講義の動画を作ることも考えております。メールを頂ければより詳しくお伝えすることも可能です。
  • プレゼン資料が欲しかった。
    【小島健太郎先生からの回答】私の分は提供できますので、必要な方は事務局までご一報ください。
  • 課題協学科目について、もう少し詳しく知りたいと思った。
    【事務局より】課題協学科目の手引きの抜粋版でしたらお渡しすることが可能です。希望される方はお問い合わせ下さい。

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