九州大学 基幹教育院 次世代型大学教育開発センター

合理的配慮に関するFDを開催しました

平成30年3月27日(火)FD・SD講演会「アクティブラーニングにおける学びの多様性 ~合理的配慮の観点からコミュニケーションが苦手な学生への対応を考える~」を開催しました。

開催概要

開催案内(PDF) ポスター(PDF)

【日時】平成30年3月27日(火)13:30~16:00
【会場】JR博多シティ 会議室(9階会議室2)

【参加費】無料
【定員】50名(先着順)
【対象】アクティブラーニングを用いた教育、合理的配慮について関心を持つ教員、職員、学生

【プログラム】
13:30~14:15 講演1(グループワークを含む)
田中 真理(九州大学 基幹教育院・教授)
「発達障害学生におけるアクティブラーニングと合理的配慮」

14:15~15:00 講演2
木村 政伸(九州大学 基幹教育院・教授)
「アクティブラーニングを苦手とする学生への対応」

15:10~15:50 総合討論
司会:飯嶋 裕治(九州大学 基幹教育院・准教授)

開催報告

【参加者情報】
学外:33名(うち県外 21名)
学内:9名
合計:42名

【アンケート結果】

《満足度》
満足:4 概ね満足:5 どちらともいえない:1
やや不満足:1 不満足:0

《参考になった点》(抜粋)

  • 発達障害学生に対する配慮の現状が分かった。
  • 曖昧な表現は避け、できるだけ具体的に指示をすること。
  • コミュニケーションが苦手な学生のあり方に配慮した、理解に基づいた丁寧な関わり方の工夫は参考になった。構造化・視覚化の具体例を学べたように思う。
  • 田中先生のご紹介下さった、気持や不安、ギャップといったものの可視化や物を介した他者への関心づくりのワークはとても参考になると思う。
  • 木村先生の実践例「どうしてもアクティブラーニングを押しつけられている印象を持つ学生への対応」が参考になった。アクティブラーニングの捉え方が教員間で一様ではなく、学生の捉え方も統一されにくいからこそ、意義を見つめ直していく必要があると理解した。
  • 障がいのある学生やアクティブラーニング(AL)を苦手とする学生に適した手段(授業目標への到達の仕方)の多様性やファシリテーションスキルについて教員も実践できるように努力すべきだと思った。

《田中真理先生への質問・コメント》(抜粋)

  • 講演で「評価の方法を変えずに仕方を変える」と仰ったが、この辺が分からなかった。
    【田中先生からの回答】正しくは、 「評価の基準を変えずに評価の方法を変える」ということでした。その授業の目的を変えずに、目的に到達するための方法を、変更調整するという意味でした。
  • 発達障害は特性の個別性が高いので、一概に言えないと思うが、発達障害の学生が(も)アクティブになれる方法について教えて頂きたい。
    【田中先生からの回答】曖昧表現を避けたり、ある一定の枠があるとそのなかでは自由な発想で能動的に関わることもできる発達障害学生は少なくないと思います。問いのたてかたも、オープンクエスチョンよりも選択肢を呈示する質問の仕方(例えば「大学への期待はどうですか?」よりも「大学に期待していたことを10点満点で点数をつけるとすると、今のところ何点ですか?」など)から始めていくと、発言を引き出すきっかけになります。課題への取り組みも、ある程度の段取りを示すことから始めると混乱せずに着手できるようです。
  • 学生からの合理的配慮の要望とそれをどこまで認めているのか、を詳しく教えてほしい。
    【田中先生からの回答】合理的配慮内容の妥当性を考える際に以下の観点からの検討することとなります。①社会的障壁の除去:物理的環境、意思疎通、ルール慣行の柔軟な変更、②個々のニーズ:個別的で事後的であること(一般的で事前的ではない)、③非過重負担:事業への影響、実現可能性、費用負担、財務状況、④意向の尊重:建設的対話による相互理解、合意形成、プライバシー保護、⑤本来業務付随:医療行為や介助行為は該当しない、⑥機会均等:結果の均等ではない、⑦本質変更不可:教育の本質的能力を評価し、ダブルスタンダードを設けない。
  • 合理的配慮を求めたのだから、対応するのが当然という学生への対応をどうするべきなのか。
    【田中先生からの回答】一つ前の質問でも述べたように、合理的配慮の要望内容をすべて提供しなければならないことはありません。学生と授業担当者間での建設的対話をふまえた合意形成が必要です。そのうえで、学生から要望された配慮内容を提供できない場合は、それを行うにあたっての、過重な負担であることや教育の本質を変更してしまうことなどの観点から、丁寧に説明をする必要があります。
  • 九州大学では入学時に全学生に知能検査をしているのか。
    【田中先生からの回答】全学生への知能検査はしておりません。紹介した検査施行事例は、発達障害学生の認知特性を紹介するための事例でした。
  • 合理的配慮を要望した学生数が紹介されたが、どのように要望を確認したのか。
    【田中先生からの回答】学生の意思に基づき、「配慮要望書」を提出するという支援の流れになっています。これらの要望内容および配慮決定された内容は、学生支援課が情報の集約を行っています。
  • 発達障害やその診断結果について、申告あるいは自己開示してくれれば、配慮することも可能ですが、そこはどう考えれば、いいのでしょうか。
    【田中先生からの回答】発達障害の診断があっても適応的に修学生活を送っている学生もいます。発達障害があり、かつ、なんらかの困り感を持っている場合には、セルフアドボカシースキルを育てていくことも支援の観点のひとつとなるでしょう。
  • 心理学等の専門ではない一般の教員が発達障害に気付くにはどうしたらいいか。簡易なチェックテスト等があれば教えて欲しい。
    【田中先生からの回答】日本学生支援機構(JASSO)が簡便なチェックリストを出しています。また、信州大学の高橋先生が作成された、発達障害の各障害(自閉スペクトラム症、ADHD)に関する「困り感尺度」もよく活用されています。
  • 教員と合理的配慮を必要とする学生との関係は分かったが、合理的配慮を必要としない学生と教員及び合理的配慮を必要とする学生の関係性(教育方法、学習方法など)はどう調整していくのか。授業実施が複雑になったり、「必要としない学生」の学習上の不満がなどが生じないか。
    【田中先生からの回答】障害者支援に関する認識について、学生および教職員を対象に、本学で行った調査結果においても、身体障害への支援への理解は高いが、一方、発達障害への理解は低いという結果がでています。このように障害の可視化の程度(みてわかる障害かどうか)によって、支援への理解も異なるようです。
    バリア(障壁)に対する支援を行うことによって、新たなバリアが生じるということは、多々生じることで、「バリアフリーコンフリクト」とよばれています。支援をすることが周囲の不公平感を生じるということもそのひとつです。
    機会あるごとに啓発に努めること、当事者学生が障害を開示することを了解した場合は、周囲の学生に説明することもあります。
  • 障害のない学生に発達障害や合理的配慮についての知識を持たせることをどう思うか。
    【田中先生からの回答】発達障害に対する正しい態度や合理的配慮等についての知識は、将来社会人としてインクルーシブ感覚をもって共生社会を構築していく人材としては必要なことだと思っています。
  • ディプロマ・ポリシー(DP)や科目目標として「他者と協力して課題に取り組む力をつける」などはよく見られるものだと思う。配慮が必要な学生に対しては、たとえ「合理的」に配慮しても、一般的に認められる水準まで達しないことはままあり得る。その場合に本当に単位を認定しなければその学生は卒業できないことになるが、実際にそれはあり得ないし、そのこと自体、合理的ではないと感る。DPをはじめとする基準と合理的配慮は、どのように考えれば折り合いがつくのか。
    【田中先生からの回答】DPや科目目標として「他者と協力して課題に取り組む力をつける」という内容であり、方法の変更調整といった合理的配慮をしても、その目標達成が難しい場合には、単位は認められないということになると思います。
    障害を背景とした「合理的配慮」とは別に、教育的配慮との兼ね合いのなかで、単位を認定するのかどうかを判断されているという位置づけでとらえています。
  • 現在の入試制度では、障害を持つ学生に入学を勧めない方策はないと思う。医療・看護など対話とコミュニケーションが不可欠な職業に向いていないことは理解できるが、単位を与えないことで、済ませてよいか少し疑問も残る。また、高校や家族との話し合いの場などを設けているのかも、聞きたかった。
    【田中先生からの回答】[高校との連携・接続] オープンキャンパスにおいて、障害のある受験生の相談ブースを設け、そこでの相談を受け付ける等を行う、本学に進学した人数の上位100校ほどの高校に「障害のある受験生へのガイドブック」を送付する、学務部入試課を通じて受験上の特別配慮に関する相談を受け付ける等をしています。
    [保護者との話し合い] 保護者からの個別相談、保護者会の開催等をしています。

《木村政伸先生への質問・コメント》(抜粋)

  • (講演資料を見て、)合理的配慮が必要な学生数に比べて、再履修者数が少ないと思ったが、合理的配慮によって、発達障害などの学生も単位が取れているということなのか。
    【木村先生からの回答】合理的配慮申請者であっても、通常クラスで教員の工夫などによって単位を取っています。
  • 合理的配慮申請者や再履修クラスの学生の個別対応には限界があると思うが、どのようにしていけば良いとお考えか。
    【木村先生からの回答】個別対応については教員のマンパワーに依存する部分が多く、限界があるのも事実です。組織的に支援教員を準備するなどの対策が必要かと思います。
  • 個別でない対応で考えられるものがあれば、教えてほしい。
    【木村先生からの回答】今回はクラスの人数が少なかったために、個別対応以外の手段は考慮しませんでした。
  • 基幹教育セミナーは1年次生全員対象の授業でクラス数も多い。教員相互での共通認識をどのように図っているのか、運営や評価基準の標準化等などの工夫があれば教えていただきたい。
    【木村先生からの回答】基幹教育セミナーでは、科目班を中心に毎年FDを実施し、「手引き」を作成して授業運営にクラス間の差が出ないようにしています。また原則的に教員3名でユニットを作って、教員相互で意見交換や授業支援を行っています。
    ※事務局による補足:FD=Faculty Development。
  • TAの活用などはないのか。
    【木村先生からの回答】再履修クラスは、原則TTで運営しているので、TAは考慮していません。
    ※事務局による補足:TA=Teaching Assistant、TT=Team Teaching。

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