九州大学 基幹教育院 次世代型大学教育開発センター

AO養成セミナー(育成型入試)を開催しました

平成30年6月17日(日)アドミッションオフィサー養成セミナー「アドミッションオフィサーはなぜ必要とされるのか? -育成型入試におけるアドミッションオフィサーの役割-」を開催しました。今回のセミナーでは、多面的・総合的な評価の入学者選抜において「育成型」をキーワードに展開している追手門大学と九州産業大学から講師をお招きし、入学者選抜の目的と内容と測定・評価の設計、さらに実施体制などについて講演して頂きました。基調講演および2大学からの事例報告を踏まえて、高大接続を意識した今後の入試設計とアドミッションオフィサーの役割について議論しました。

開催概要

開催案内(PDF) ポスター(PDF)

【日時】平成30年6月17日(日)13:30~16:35
【会場】
九州大学 箱崎キャンパス文系地区
共通講義棟102教室

【参加費】無料
【対象】
大学教職員・高校教職員の方を対象とします。特にアドミッション(入試)業務従事者、大学入学者選抜業務を担当する学部教員や入試関連委員会委員、入試課でアドミッション(入試)業務に従事されている事務局員の方、今後、アドミッション・スペシャリストを目指す方。

【プログラム】
13:30~14:30 基調講演
池田輝政(追手門学院大学・学長補佐、アサーティブ研究センター・センター長、基盤教育機構・教授)
タイトル:「生き抜く力を接続する大学入試再考」

14:30~14:45 休憩

14:45~15:25 事例報告
志村知美
(追手門学院大学 教務部アサーティブ課・課長、アサーティブオフィサー、アサーティブ研究センター研究員)
タイトル:「一緒に育てます!?アサーティブプログラム・アサーティブ入試」

15:25~16:05 事例報告
一ノ瀬大一(九州産業大学 教務部・教務第二係長、KSUアドミッションオフィサー責任者)
タイトル:「KSUアドミッションオフィサーが中退を予防するKSU育成型入試」

16:05-16:35 フロアとの質疑応答

開催報告

【参加者情報】
学外:55名(うち県外 33名)
学内:11名
合計:66名

【アンケート結果】

《満足度》
満足:9 概ね満足:11 どちらともいえない:2
やや不満足:0 不満足:0

《参考になった点》(抜粋)

  • 以前から、先進事例として新聞や教育関連記事等に掲載されていた2大学の入試改革について、直接担当者の方からお話を伺うことができたことは貴重であった。
  • 高校生に自分の考えを述べる機会を多く与えていかなければいけないと思った。
  • 入試(AO・推薦)を「育てる」という観点から実施するということ。
  • 池田先生の講義での「学びのモチベーション」の3要素と知の捉えなおし、方法の知について、改めて自身の授業、教育を振り返ってみようと思った。
  • 全体的に参考になるお話しだった。特に、池田先生ご指摘の「学びのモチベーション力」、志村さんの「自学自習の姿勢をつけさせる」という言葉、一ノ瀬さんのデータに基づいた中退予防対策の見直しが腑に落ちた。
  • 追手門学院大学、九州産業大学におけるアドミッション業務におけるSD(Staff Development)はとても興味深かった。教職員にはもちろん、学生にとっても有意義なものだと感じた。
  • 本学は職員が入試に関わることが(事務作業以外)ほぼないので、他大学では教員だけではなく、職員のかかわりが大きい点を持ち帰りたい。
  • 各大学の取組みに関しては、どれも興味深いものであったが、何よりも熱い情熱を持って変えていこうというパワーがないと改革は進まないということを感じた。
  • コーチングについては、大変興味深く拝聴した。入試担当者に限らず、多様な学生に直に対する学務担当職員には必要なスキルと感じた。アドミッションオフィサーに留まらず、次世代大学教育の職員育成手法(研修)の一つとして取り上げてもいいのではないかと思った。
  • 追手門学院大学のアサーティブプログラムでの面談は、入試広報的側面を抑制して、学生と一緒に将来を考えるというスタンスである点に共感をおぼた。
  • 九州産業大学の面談結果を高等学校へフィードバックされている点は、本学でも検討の価値があると思っている。
  • 高等教育を受けた保護者とそうでない保護者が混在する現在、高等教育に関する情報格差や意識格差を埋めていくことを供給側(高校や家庭)任せにせずに伴走して行く取り組みは、勤務校である国立大学でも(国立だからこそ)今後もっとやっていかなければいけないと感じた。勤務校は高大接続の機能が弱いので、大変参考になった。
  • 勤務校では学生との面談はカウンセラーとキャリアカウンセラーをのぞいては原則教員の業務となっています。こうした部分を職員が担当することで教員には言いにくい、しかしカウンセラーにかかるほどはない、という悩みを持つ学生達をケアするという取り組みは、コーチングスキル養成と合わせて、教員の負担軽減という点でも大変参考になった。

《分からなかった点・もっと説明してほしかった点》(抜粋)

  • ものすごく引っ込み思案な生徒、質問を投げかけてもリアクションが薄い生徒もいるかと思うが、そのような生徒にはどのような言葉を投げかけているのか。このような生徒がうまく自己表現出来るようになるには、どのような経験を積めば良いと思うか。
    【志村さんからの回答】時々、このような生徒が面談ブースに着席をします。その生徒が話せるきっかけを模索しながら私の1人マシンガントークをします。表情が変化する話題から話を聞きだすようにしています。それでもリアクションが薄い生徒には、「1人で話をして疲れたよ。交代して。そろそろあなたの声を聞かせてくれない?」と迫ります。恐る恐るですが、ポツリポツリと話し始めます。できるだけ気が済むまでお話に付き合います。自分の言葉で何かを伝える気持ち良さを経験することが大切だと思っています。
  • (追手門学院大学の)MANABOSSに関して、以下の点をご教示頂きたい。
    ・最後まで受講した生徒の割合
    ・出願者の何割が受講していたか、また最後まで受講した学生の割合
    ・逆に、受講者の何割が実際に出願したか
    ・受講者の入学後の伸びを測定されていれば、その内容
    【志村さんからの回答】MANABOSSの登録・利用は、アサーティブ入試の出願資格ではありません。利用していなくても出願できますし、合否判定には利用の有無は関係ありません。そのため、入学後の伸びは(登録時の学力を測定していないこともあり)測定していません。また、リセット機能があるので、何度も利用できるので、終わりはありません。合格後の利用も推奨はしていますが、強制はしていません。
    2017年度入試のMANABOSSの利用状況は以下のとおりです。
    アサーティブプログラム受講者数717名(高校3年生)、MANABOSS登録者数513名(内アサーティブプログラム未受講者46名)
    アサーティブプログラム受講者でなければ出願資格がないため、出願資格のあるMANABOSS登録者数は、467名となります。このうち、アサーティブ入試A日程出願者数261名中233名が利用(89.3%)、合格190名中119名が利用(91.5%)、アサーティブB日程出願者数134名(A日程不合格者もいます)中124名が利用(92.5%)、合格60名中57名が利用(95.0%)。
  • 今次の高大接続改革において、全ての入試において学力の3要素を測ることが求められている。その様な中、アサーティブプログラム、アサーティブ入試という素晴らしい育成型入試を実施しておられる中で、グループディスカッションや個人面接で、いわゆる「主体性等」や「モチベーション」をどの様に定義し、どのような評価手法で測っていらっしゃるのか、是非ともご教示頂きたい。
    【志村さんからの回答】評価に関わることなので、具体的には記載できませんが、例えば、主体性等は参加度や発言、積極性などを評価します。モチベーションは、本学志望理由の明確度等を評価します。これらは、評価シートを用いて点数化しています。
  • 追手門学院大学のアサーティブ入試も九州産業大学のアドミッション入試も高校生(受験生)に対する面談とフィードバックによって、高大接続で生徒・学生を育成する仕組みだと思うが、やはり高校の抵抗は大きかったという話だった。それに対して、「まずやる」ための高校へのコミットメントはどのようなものだったのか。
    【志村さんからの回答】高校の抵抗というより、戸惑いだと感じました。導入当時は、高校の理解より高校生の口コミを意識しました。実際、アサーティブプログラムを受講した高校生の口コミで広がり、高校教員が興味を持ち(生徒が良いというアサーティブプログラムは一体なんなのだ?問い合わせてみようなど)、取り組みに共感していただいた教員から、進路指導研究会での講演依頼があり、対高校教員への説明会のような機会を頂きました。
    【一ノ瀬さんからの回答】高校よりも学内の方が抵抗が強かったです。高校の場合は、当該生徒さんの内容を共有するため、非常に有意義なフィードバックとなりました。ただし、明らかに意欲や学力の低い生徒さんもフィードバックしますので、合格率が低くなると言う点では、「そこまで見なくてもいいんじゃない」というような声はあったと思います。本質的に言うと、それではいけないと思いますので、聞き流しています。
  • 育成型入試を導入するにあたり、学内での調整や立ち振る舞いをどのようにされてきたのかを知りたい。(特に困難だったことなど)また、携わっている教職員に負担はかかっていないかについても知りたい。
    【志村さんからの回答】トップ:執行部で方針を通す、ミドル:課内と学内の調整、担当者:政策立案と実施・運営、という役割を三位一体となりそれぞれが果たしました。困難なことは、理解者を得るまでの孤独を乗り切ることでした。仲間は必要だと痛感しました。
    教員に対しては負担はかかっていないと思います。職員は明らかに負担が増えていますが、手応えを感じることが多いので、辞退の申し出はありません(面談職員になるのは強制ではありませんので)。
    【一ノ瀬さんからの回答】学内での調整で重要な点は、データに基づき、主張を明確にし、教員の負担を少なく実施することを何度も話しました。携わっている教職員にできる限り負担を少なくするように、理事長や学長から大学の方針として各部所に配慮するように指示してもらっています。もともと意欲の高い教職員ですので、負担感を主張することはないですが、周囲の視線を気にする教職員もいますので、トップダウンでの対応を行っています。
  • 面談結果の高校へのフィードバックに関する以下の点について聞きたい。
    ・事前に、面談対象者へ高校へフィードバックする旨を伝えているのか。
    ・面談対象者へ個人情報の提供について、事前に確認を取っているのか。
    ・その他、高校へのフィードバックに際して留意されている点はないか。
    【一ノ瀬さんからの回答】面談結果を高等学校へフィードバックすることについては、面談時にも伝えておりますし、最初のガイダンスや募集段階でも周知しています。パンフレットにも記載しております。個人情報の提供もプログラムと入試とのつながりの中で目的をきちんと生徒さんに伝えています。高校へのフィードバックでは、面談で生徒さんが話した内容を中心にフィードバックした上で、高校の先生の意見を聴取し、それに対してアドバイスや意見を言うようにしています。
  • 九州産業大学の取組、(プログラム受講者が出願できる流れ)を国立大学で行うことは可能だろうかか。さらなる説明(ご助言)を頂けると有り難い。
    【一ノ瀬さんからの回答】国立大学でも可能だと思います。ただし、アドミッションオフィサーの役割やプログラムの方針について議論する必要があると思います。どのようなデータに基づき、それを少しでも解決するための入試制度にしたいかなどを共有した上でプログラム編成を考えた方が良いと思います。私でよければいつでもご相談ください。
  • 中退に関するデータで、AO入試での中退率が高いとの話だったが、AO入試の学生の学習意欲の低下・欠如理由は「入学前後のイメージの違い」が主と考えていいか。また、このギャップは要求される学力によるものなのか、それとも単にイメージだったのか、差し支えなければ教えてほしい。
    【一ノ瀬さんからの回答】AO入試の学修意欲の低下という理由の学生は、「入学前後のイメージの違い」、「自分の意思で入学を決めなかった」、「元々、大学で勉強する気がなかった」が多いです。あとは、「何らかの理由で授業を欠席して授業が分からなくなって意欲が低下した」との理由です。
    このギャップは、学部・学科の学びの内容を把握していないことが大きな要因だと感じています。学力ではなく意欲の方だと思います。例えば、数学が苦手で高校で普通科だから経済学部にしたなどです。経済学部では数学が重要な科目ですから。

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