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Ω の使い方


Ω とは?

Ω は TeX を拡張したもので,世界中の言語を扱えるように内部でユニコードを用いています。各言語を扱うには,Ω 本体の他に,文字コードの変換やその言語に応じた組版規則を与える ΩTP(Ω Translation Process),ΩCP(Ω Compiled Translation Process)と呼ばれるものが必要です。日本語に対応した ΩTP,ΩCP を含んだものが Omega-J です。ここでは,この Omega-J を初めて使う人を対象として,Omega-J の使い方を書きます。

Ω や Omega-J は狭義の TeX を拡張したもので,LaTeX のコマンドを使うことはできません。LaTeX のコマンドを使えるようにしたものが,それぞれ Λ,Lambda-J です。ここでは,TeX のときと同様に Ω,Omega-J,Λ,Lambda-J を合わせて Ω と呼ぶことにします。

準備

$texmf\web2c\fmtutil.cnf の,

#lambdaj         omega           language.dat    lambdaj.ini

という行の先頭の # を削除します。ここで,fmtutil.cnf の扱い方に関しては,トニイさん による拡張子を表示できるようにしてあるのに texmf.cnf が見つかりません。」を参考にしてください。そして,コマンドプロンプトで

fmtutil --byfmt lambdaj

と入力します。

まず,

\documentclass{article}
\usepackage{omega}
\begin{document}
あいうえお

g h gh

\begin{latberber}
 g h gh 
\end{latberber}
\end{document}

と書いた .tex ファイルを作ります。例えば,ここでは example.tex とすることにします。次に,コマンドプロンプトで

lambdaj example.tex

と入力します。できた example.dvi を dviout で見てみましょう。latberber 環境内の 3 文字目が γ のような文字になっていれば成功です。

ΩCP の使い方

omega.sty 内で,latberber 環境は

\newenvironment{latberber}{\pushocplist\LatinBerberOCP\fontfamily{omlgc}\selectfont}{}

と定義されています。\fontfamily{omlgc}\selectfont はフォントに関する指定なので,ここでは \pushocplist\LatinBerberOCP の部分に注目します。いくつかの ΩCP をまとめたものを ΩCP list といい,ΩCP list を実行させる命令が \pushocplist です。したがって,\pushocplist\LatinBerberOCP は \LatinBerberOCP という ΩCP list を実行させるという意味になります。

\LatinBerberOCP は,omega.sty 内で

\ocplist\LatinBerberOCP=
\addbeforeocplist 1 \LatinBerberUni
\addbeforeocplist 1 \BasicLatinUniToFont
\nullocplist

と定義されています。これは,\nullocplist(ΩCP が 1 つもない ΩCP list)に,\LatinBerberUni,\BasicLatinUniToFont の 2 つの ΩCP を付け加えた ΩCP list を \LatinBerberOCP とする,ということを意味しており,\LatinBerberOCP という ΩCP list は \LatinBerberUni,\BasicLatinUniToFont という 2 つの ΩCP からできているということが分かります。

\LatinBerberUni,\BasicLatinUniToFont は,omega.sty 内で

\ocp\LatinBerberUni=7lbe2uni
\ocp\BasicLatinUniToFont=uni2lat

と定義されています。これは,\LatinBerberUni の正体が 7lbe2uni.ocp であり,\BasicLatinUniToFont の正体が uni2lat.ocp であることを表しています。

以上より,ΩCP を使いたい場合は,\ocp コマンドによってその ΩCP を表すコマンドを定義し,\ocplist コマンドによって ΩCP list を作り,\pushocplist によってその ΩCP list を実行させればよい,ということが分かります。


斎藤新悟