低次元電子物性
矢山グループ低温物理学
メンバー
研究テーマ
研究室の施設 研究室の施設1 研究室の施設2  
研究希望者へ
最近の論文
ベンチャー
関連情報
〒812-8581
福岡市東区箱崎6−10−1
九州大学 大学院 理学府
物理学専攻
TEL 092-642-3892
九大物理
 
研究テーマ

1.超流動ヘリウム面上の低次元電子系


液体ヘリウムの表面には約1eVのエネルギーバリアがあり,電子は表面で反発され中に入ることができない.一方,電子が表面に近づくと,液中に正のイメージチャージがつくられ,引力が生じる.その結果,電子は表面から約70A付近に安定に存在することができ,電子間のクーロン斥力により2次元の電子系が形成される.この電子系は,半導体の界面にできる2次元電子系と似ているが,電子密度が低く非縮退系であるという特徴がある.また,低温ではウイグナー結晶に転移するなどの面白い性質を示す.

この電子系の横方向の運動を制限すると,1次元あるいは更に次元が下がったゼロ次元の電子系ができる.我々は現在,この系を研究対象にしている.実際にこれらの系を実現するには,ガラスの表面に直線的な溝を彫った光学回折格子を用いて,その表面に超流動ヘリウムの膜を張る.そうすると,溝にもヘリウムが流れ込み,その表面は重力と表面張力の拮抗によって図1のように窪む.その窪みは直線状の溝になり,そこへタングステンのフィラメントから熱電子を供給すると,窪みに落ち込んだ電子が1次元電子チェーンを形成する.

この電子系に交流電場を印加し,その応答から電子の伝導度が求まる.伝導度の温度依存性は,2次元のものとは大きく異なり,1次元特有の振舞いをすることが分かった.その振舞いは,溝の中のエネルギーサブバンド間の遷移によって説明できる.また,最近,超低温での振舞いが,朝永―ラッティンジャー液体の性質を反映しているのではないかと思われる実験結果が得られるようになった.
図1
  図1. 回折格子の上に毛管凝縮した超流動ヘリウムチャンネルと
その中に形成された1次元電子チェーンの様子