NEWS & TOPICS 岸本研究室からのお知らせ

2023.06.01 業績
論文掲載
共同研究員の 齊藤貴文先生(令和健康大学)論文が受理されました。
論文名
Relationship between chronic pain types (nociceptive and neuropathic-like symptoms) and frailty in community-dwelling Japanese older adults: A cross-sectional study

著者名
Takafumi Saito, Xin Liu, Harukaze Yatsugi, Tianshu Chu, Tsubasa Yokote, Hiro Kishimoto

雑誌名
Journal of Pain Research
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抄録
慢性疼痛は、さまざまなメカニズムを介して高齢者の身体的なフレイル状態を進行させる可能性があります。神経病的な症状が身体的フレイルに与える影響については、公表された研究はありません。私たちは、日本の在宅高齢者における慢性疼痛のタイプ(痛みの感じ方に基づく痛みと神経病的な症状)と身体的フレイルとの関連を調査しました。
この研究は、日本の糸島市で2017年に実施された、在宅高齢者を対象とした横断研究です。対象は、要介護が必要でなく、65歳から75歳の917人で、1〜2か月間にわたって地域センターで実施された身体機能テストとアンケート調査に参加した人々です。彼らの慢性疼痛のタイプは、痛みのDETECTスコアに基づいて、非慢性疼痛、痛みの感じ方に基づく痛み、および神経病的な症状に分類されました。身体的フレイルの項目は、次の5つの要素によって定義されました(意図しない体重減少、握力低下、疲労感、歩行速度低下、身体活動レベルが低いこと)。ロジスティック回帰モデルを使用して、身体的フレイルのオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を計算しました。
その結果、身体的プレフレイルの有病率は51.9%、身体的フレイルの有病率は5.1%でした。多項ロジスティック回帰分析では、非慢性疼痛群と比較して、痛みの感じ方に基づく痛みを有する高齢者の身体的プレフレイルORは1.54(95%CI:1.04-2.30、p=0.03)、神経病的な症状を有する高齢者の身体的フレイルORは4.37(95%CI:1. 10-17.37、p=0.04)でした。火傷、チクチク感、しびれといった神経感覚症状は、身体的フレイルに関連していましたが、身体的プレフレイルには関連していませんでした。
結論として、神経病的な症状は、日本の在宅高齢者における身体的フレイルのリスクが高まる関連因子でした。慢性疼痛のタイプによって、身体的フレイルに異なる影響を与える可能性があります。
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