基幹教育院について

About Faculty of Arts and Science,Kyushu University

教員紹介

金山 浩司准教授 Koji Kanayama

専門分野
科学技術史
 何の研究者か、と訊かれれば、科学思想史をやっています、ないし、科学技術史をやっています、と答えます。もう少しテーマを詳しく説明するなら、20世紀半ばのソ連ないし日本で自然や技術の根本として何を想定するかについていかなる議論がなされてきたか、そしてそれを現在の視点からどのようにみたらよいか、といったことをやってきました。
 自然界がどうなっているのかとか、人間と外部世界とのかかわりはいかなるものであるのか、といったことについては、それこそ数千年前から連綿と思索が積み重ねられてきました。連続的なものと非連続的なものと、あるいは変化するものと不易のものと、それらの関係をどうみるべきか、意識と物質との関係はどうなのか、自然の階層性をどの程度強調するか、自由と必然性との関係はどうなっているのか、そういったことです。これらの問いは科学や技術の発展そのものには関係ない思弁的なもののように見えるかもしれませんが、科学者や技術者自身の思索を左右していたり、宗教・政治思想など隣接領域と複雑に結合・反応して展開をみせたり、といったことがしばしばありました。スターリン時代のソ連や軍国主義時代の日本における思想や哲学というと、いかにも政治的抑圧のもとでのあだ花のようですが、述べましたような普遍的問題群に連なる議論でも実はありますし、そういう一面を見過ごしてはならないのでは、という関心が私の研究遂行を支えてきています。
 基幹教育院では科学史/技術史/科学哲学にかかわる授業を主に担当いたしますが、そこでは、分化した学問や実践の営みの集積として科学や技術をみるのではなく、多種多様な領域との相互関係のもとにそれらの歴史・哲学をとらえることを目指したい、少なくとも、そのようなとらえ方があることを学生に伝えていければ、と思っています。彼らの頭脳を揺さぶり、こちらも彼らに揺さぶられることを、新たに九大生と交流することになった教員として、楽しみにしています。
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