基幹教育院について

About Faculty of Arts and Science,Kyushu University

教員紹介

斎藤 新悟准教授 Shingo Saito

専門分野
数学・統計学

 2013年に基幹教育院に着任しました。出身は大阪で,東京,ロンドンを経て福岡にたどり着きました。九州大学には2008年から学術研究員として在籍していたので,もう10年以上お世話になっていることになります。

 専門は数学で,現在は主に多重ゼータ値と呼ばれる対象を研究しています。多重ゼータ値とは,画像のような式で定義される実数で,リーマンゼータ値 \[ \zeta(k)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^k} \] の多変数への拡張になっています。ゼータ値の研究の原点は,オイラーによる等式 \[ \zeta(2)=\frac{1}{1^2}+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\cdots=\frac{\pi^2}{6} \] なので,数式にあまりなじみがない人は「無限個の分数の和の研究」と捉えると,多少は親近感がわいてくるかもしれません。実は,最近研究している有限多重ゼータ値は「有限個の分数の和」なので,もっと身近に思えるかもしれません。多重ゼータ値以外では,直感に反するような実関数の性質を調べる研究や,損害保険会社および英文学者・言語学者・政治学者との共同研究も行った経験があります。

 基幹教育では基幹教育セミナー,課題協学科目,社会と数理科学,体験してわかる自然科学(の数学部分)などの授業を,大学院数理学府ではアクチュアリ数理の授業を担当しています。学生さんの予備知識や興味・関心に応じて,数学を楽しめるような題材を提供するように努めています(とはいえ,受講者の幅が広いときなどは,なかなかうまくいかないことも多いです……)。「数学が好き」と言える学生さんを1人でも増やせるような授業を目指しています。

 基幹教育セミナーや課題協学科目を担当すると,あるいは異分野の研究者と共同研究を行うと,様々な専門や思考様式を持つ人々と出会うことができます。これからも総合大学である九州大学の魅力を存分に味わいつつ,いろいろな人とのかかわりを楽しんでいきたいと思います。

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