基幹教育院について

About Faculty of Arts and Science,Kyushu University

教員紹介

畑埜 晃平准教授 Kohei Hatano

専門分野
機械学習
 基幹教育院の畑埜です。私の専門はコンピュータ・サイエンス、特に機械学習という分野を研究しています。機械学習とは、コンピュータに何がどのぐらいのコスト(計算時間、メモリ)で学習できるか?を研究する分野です。特に、私の研究は、良い理論保証を持つ学習アルゴリズムを設計することです。ここでの理論保証とは、予測の精度や計算時効率の良さ等を数学的な定理の形で証明することを指します。ですので、私の道具は数学です。
 身近な例でいうと、Amazon等のオンラインショッピングの商品推薦は。ユーザの過去の購買履歴から、将来買いそうな商品を推薦するという機械学習の典型的な問題の1つです。多数のユーザ(行)と商品(列)からなる、好みの度合いを要素とする巨大な行列を考えると、この問題は行列の穴埋め問題にとみなすことが出来て、(理系の皆さんが習うであろう)線形代数が大活躍します。線形代数は実際とても役に立つのです。
 最近は、ディープラーニングという機械学習手法の発達により、様々な分野で機械学習が浸透してきました。いわゆる人工知能ブームです。実は、このような人工知能ブームは初めてではなく3度目のブームです。古くは1960、70年代、続いて80年代、そして2000年代から現在までのブームがあり、色んな手法・アプローチの栄枯盛衰、もしくはリバイバルブームといえる出来事がありました。また、ブームとブームの間はいわゆる冬の時代と呼ばれ、ヒトやお金が分野から出ていくという時代でした。現在のブームの要因の1つはディープニューラルネットワーク(DNN)という表現能力の高い予測ルールと、当時は得られなかった大量のデータです。これらによって画像認識等の分野で予測精度が劇的に向上した事がブームのきっかけとなっています。
 私はというと、2度目のブームが終わり、3度目のブームが始まる頃に研究をスタートしました。私の学生時代には、情報系分野自体今ほど人気はありませんでしたし、学会もこじんまりしていました。ちなみに機械学習の学会でIBISというワークショップがあるのですが、IBISの意味は朱鷺(トキ)、つまり自らを絶滅危惧種と半ば揶揄してつけたネーミングなのですsmiley(現在は国内最大の機械学習コミュニティとなっています)。そういった経緯もあり、我々世代の研究者はブームを比較的冷静に見ていると思います。また、私自身、流行り廃りに惑わされない基礎研究を心がけています。
 研究分野における栄枯盛衰を見るにつけ、“Don’t put all your eggs in one basket” という西洋のことわざを思い出します。つまり、自分の能力や労力、リソースを1つの事だけにつぎ込んではいけないということです。研究や仕事において、自分の専門分野だけでなく、他の分野にも興味を持ち、いつ来るかわからない変化に適応できるよう汎用的な能力を身に着けておくことです。基幹教育は、皆さんの知的興味やアンテナを広げるとても良い機会かもしれません。様々な人や学問との出会いが皆さんのサバイバル能力を高めるきっかけとなる事を願っています。
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