基幹教育院について

About Faculty of Arts and Science,Kyushu University

教員紹介

太田 訓正教授 Kunimasa Ohta

専門分野
幹細胞生物学
2020年4月に九州大学基幹教育院に着任しました。着任早々、コロナ禍の影響で出鼻を挫かれた感はありますが、一緒について来てくれた4人の大学院生とともに、幹細胞生物学研究室(大学院システム生命科学)を立ち上げました。私は、九州大学理学部生物学科を卒業し、博士号も九州大学から授与されましたが、その間、九州大学に籍をおいたまま、京都府立医科大学、名古屋大学で研究を行ってきました。その後、唯一の就職先である熊本大学大学院医学研究科には28年間も所属し、その間にケンブリッジ大学への留学を経て、30年ぶりに九州大学に戻って来ました。

基幹教育では、基幹教育セミナー、課題協学科目、理系ディシプリン科目の細胞生物学を、1年生を対象に担当しています。私の専門研究分野は、発生生物学ですが、たった1個の受精卵から、37兆個からなる私たちの体が形成される過程に産生される細胞の構造や特徴を、教科書だけでなく、実際に学会発表等で用いる資料なども使って解説しています。入学したての新入生には難しく思われるかも知れませんが、そんなことはありません。熊本大学では、熊本県立宇土高校2年生を対象とした研究指導を5年間行ってきましたが、彼・彼女らが、私が大学4年生で初めて研究室に所属した時に行った細胞培養実験を、いとも簡単に熟すことを見て、「学び始めるのに早すぎることはない」ことに気付かされました。後輩である九大生達が基幹教育を介して、様々な刺激を受けることで、積極的かつ主体的に、新たな知や可能性を求める人材へと成長できるようにサポートしていきたいと思っています。

研究では、動物の形作りにおいて最も重要な役割を果たす幹細胞の研究を行っています。約26,000個あると言われるヒトの遺伝子の中で、私は4つの遺伝子(Plexin、Tsukushi、Akhirin、Equarin)の命名に携わり、これら分子が初期発生時に担う生物学的機能を解析してきました。2012年には、巷では一風変わった研究と云われていますが、生きた乳酸菌をヒト皮膚細胞に取り込ませることで、多能性を獲得するという現象を見出し、2018年には、その形質転換物質がリボソームであることを報告しました。幹細胞生物学研究室では、Tsukushi、Akhirin、リボソームをキーワードとして幹細胞研究に取り組んでいきます。

基幹教育院に所属することで、文系・理系を問わず、異分野の研究者や学生との交流や共同研究が可能となり、自分たちでは思いもしなかった発想が湧き上がり、新たな真理の探究に繋がることを楽しみにしています。
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