基幹教育院について

About Faculty of Arts and Science,Kyushu University

教員紹介

岸本 裕歩准教授 Hiro Kishimoto

専門分野
身体活動疫学・介護予防
2017年4月より現職で活動をしています。研究の専門は、身体活動疫学と介護予防で、身体を動かすことが寿命や疾病にもたらす影響について、大規模なヒト集団のデータから分析しています。最近はデータ分析に加えて、フィールドワークにも力をいれており、地域に住む65歳以上の皆様が、住み慣れた地域でいつまでも元気に活動するために、虚弱(フレイル)予防に取り組んでいます。

年を重ねるに連れ心身が衰えていくことは自然な現象ですが、この衰えが極端な状態を「フレイル」と呼びます。フレイルは自立した生活が困難な状態(要支援・要介護状態)を早めてしまう原因の一つですが、その反面、早期に発見して予防・改善に取り組むことができれば、元気な状態に回復することもわかっています。しかし、日本だけでなく世界的にも、フレイル予防のモデルケースは確立されていません。

私は、九州大学伊都キャンパスの近隣、福岡県糸島市と共同して「糸島フレイル予防モデル」を確立しようと取り組んでいます。市民の方々が、いつでもフレイルがチェックできる環境を市内に設置したり、フレイルの予防・改善に取り組む市民団体を組織化したり、運動プログラムや口腔機能改善プログラムのアプリ化や動画コンテンツを作成したりしています(掲載写真、岸本は左下)。「誰もがフレイル予防に取り組める」を地域に普及し定着化させるには、何が起爆剤となり、何が妨げになっているのかを明らかにし、一つずつ、一歩ずつ解決していきたいと思っています。さらに、糸島フレイル予防モデルによって、今後の要支援・要介護認定者数が減少するのかを知るために、前向き追跡研究も継続しています。

基幹教育では、健康・スポーツ科目を担当しています。特に学部1年生の必修科目「健康・スポーツ科学演習」は、単にスポーツや運動機能測定を学習するだけでなく、ヒト社会で必要なライフスキル(ストレス対処、コミュニケーション、リーダーシップなど)も、スポーツを通して学習することができます。これは他大学のスポーツ授業には類をみない九大オリジナル授業といえます。また、兼任先であるキャンパスライフ・健康支援センターの先生とともに「健康疫学・内科学からみたキャンパスライフ」を担当し、運動が心身にもたらす影響を紹介しています。

大学院教育では、大学院人間環境学府を兼任し、現在(2020年7月末の執筆時点)16名の大学院生・研究生と共に、研究について議論を深めています。大学院生の柔軟な発想に、新たな研究視点のヒントを得ることも多く、「共育」を感じています。

さいごに、私の出身は大阪府で、大学卒業まで地元で過ごしました。その後、九州大学大学院で学ぶため福岡に参りました。以来、現在まで多くの時間を九州大学で過ごしています。長くお世話になる九州大学の研究・教育の発展のために、少しでも役に立てることができればと思っています。
一覧に戻る