基幹教育院について

About Faculty of Arts and Science,Kyushu University

教員紹介

小湊 卓夫准教授 Takuo Kominato

専門分野
高等教育マネジメント
 大学経営は教育と研究の管理運営だけにとどまらず多様な領域を含む複雑化した経営となっています。そういった中で、大学における計画立案と評価、学内の諸活動に関する各種データを収集分析し意思決定支援を行うIR(Institutional Research)と学習成果の可視化、教職員を対象としたFDやSDといった領域を中心に実践を兼ねた研究を行っています(なお写真は教職員向け研修の様子を写したものです)。このような領域は、Higher Education Management(Administration)と呼ばれています。日本ではあまりなじみのない学問領域かもしれませんが、大学院の一つのコースとして教育プログラムを有する大学は北米を中心に多く存在します。

 そのため、私自身の直接的な活動として、基幹教育院の次世代型大学教育開発センターや大学評価コンソーシアム(教職員の相互研修の場として立ち上がった任意団体)を通して、学内外の教職員を対象とした研修をこれまで手掛けてきました。基幹教育では私の専門領域を扱った授業を行うことは難しいため、私の専門の隣接領域に位置付けられる科目、具体的にはインターンシップやボランティアを中心としたサービスラーニングやファシリテーションスキルを扱った授業を担当しています。

 このような活動を通じて最近思うことは、積極的に学ぶ姿勢はどのように形作られるのかということです。教職員は自身の活動の質を高めることを目的に研修に積極的かつ自発的に参加します。しかし学生は大学入学までは自ら学ぶものの、入学後もその姿勢が維持できる学生が多いとは言えない状況のようです。基幹教育院がアクティブラーニングを掲げているのはその証左と言えそうです。学生の学びへのモチベーションを高める方策は、基幹教育でも試行錯誤されていますが、学生が自身の教育経験とキャリアを結びつけ、実社会での実践に取り組むことができれば、大学での学びが持続され知的成長を遂げることが米国の研究でも徐々に明らかになってきています。米国と日本では学生の置かれている環境や背景が異なるとはいえ、社会人や教職員が自身のキャリア形成や仕事の質向上のために学ぶのと同様に、学生も将来のキャリアを見据えながら積極的に学べる環境や制度を学内にどのように作り学生を巻き込んでいくのかが大きな課題と言えそうです。微力ながらも、そのような課題を意識して授業実践を行い、学生の言動が変容していく様子を見ることができたときは教員冥利に尽きると感じられます。そういった経験を今後も多く重ねられるように目指したいと思います。
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