基幹教育院について

About Faculty of Arts and Science,Kyushu University

教員紹介

専門分野
 自然科学理論系部門の山田政寛(やまだ まさのり)です。最後の「寛」は当て字で、大学に入るまで、最初のクラスで正しく(?)読んでもらったことはありません。でもその当て字のおかげで、母によると、間違えて私の名前を言う私宛の電話セールスに対して「そんな名前の子はおりません」と断りやすかったといいます(笑)。
 私の研究領域は「教育工学」と言われる研究領域です。初めて聞かれる方も多いと思います。「工学」は理論に基づき、様々な手段を用いて、現場の問題解決に寄与することを目的とした学問領域です。今までできなったことができるというのもあるでしょうし、効率化するというのもあると思います。「○○工学」の1つとして「教育」がつくので、教育・学習に関する現実の問題を解決することを目的とした学問領域です。たとえば学習効果を高める教材をデザインし、開発、効果検証するというものは古くから現在もよくされている研究です。対象も子どもから高齢者まで、学校から学校外での学びまで、広く現場の問題に解決し得る方法論を作り、できるだけ汎用的に使えるようなものを作り出していくことも教育工学研究の1つのゴールでもあります。
 私の研究は基本的にはICTを活用した教育・学習支援システムのデザイン・開発・評価に関する研究を行っています。特に、オンラインにおける協調学習(グループワークのようなもの)のパフォーマンスを高くする支援システムのデザイン・開発・評価を主立った研究とし、ラーニングアナリティクスという教育・学習支援システムの上に蓄積される学習行動データの分析研究も行っています。たとえばデジタル教科書における個人の学習行動から効果的な授業デザインを導き出すような研究も行っていますし、学習ゲームのデザイン・開発・ゲーム行動分析研究も行っています。教育研究というと社会科学系を想像される方が多いのですが、もともとIT企業でSEをしていたこともあって、情報工学との学際研究として教育・学習支援システムのデザイン・開発・評価の研究を行っています。
 2020年頭から本格化した新型コロナウィルス感染症の広がりによって、国内外の教育機関ではオンライン授業を行うところも多かったですし、みなさまもご苦労されたかと思います。教育工学では1990年代からオンライン学習環境をどのように効果的なものとするのか、オンライン学習におけるシステムデザイン・開発研究や、システムを活用した授業デザイン研究、それらの評価、オンライン環境でもうまく学習ができる人の特性や学習行動分析研究、教員の役割など、バラエティある研究を行ってきました。実践としても日本では少なくとも2000年代前半には完全オンライン型授業はされていましたし、近年ではMOOCsと言われる国内外の多くの人たちに向けた教育コンテンツを学習する環境も広がっています。
 新型コロナウィルス感染症の拡大により、教育環境において大きな変化があった2020年でしたが、コロナ禍が落ち着いた後、平常時のことも考えると、オンライン学習環境における授業・個人学習、対面とのブレンド形態も含めて、授業実施形態の1つの選択肢として挙がってくると思います。教育工学はこれからも変化する教育や学習の状況に応じて、様々な学問領域との学際的研究領域として発展し、教育・学習の問題解決に寄与していきますし、私もそのように教育・学習環境の改善・発展に貢献していく研究をしていきたいと思います。
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