教員紹介
外枦保 大介准教授
Daisuke Sotohebo
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専門分野
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地理学
近年、新興国の様々な地域で産業や科学技術の新たな発展がみられる一方で、欧米諸国や日本などの各地域では産業が成熟化し、グローバルな立地再編が進んでいます。私は、経済地理学の立場から、グローバル時代の成熟産業地域に着目した研究を進めています。
成熟産業地域を読み解くためには、進化の視点が欠かせません。欧米の経済地理学では、2000年代半ば以降に、進化経済学の概念や着想を経済地理学に導入した進化経済地理学の議論が蓄積され、研究が進展してきました。これまで経済地理学では、産業集積を成長させる地域イノベーションに関する様々な検証が進められてきましたが、漸進的な効果を与えるイノベーションの役割を考慮すると、進化経済地理学の議論は示唆に富みます。それを踏まえると、成熟産業地域では、地域イノベーションを効果的に創出・波及させる仕掛けづくりだけではなく、成長を阻害する「しがらみ」となっているネガティブなロックインを除去することの重要性を指摘することができます。
このような視点を持ちながら、これまでグローバルにかつローカルにフィールド調査を行ってきました。日本国内だけではなく、米国、ドイツ、スペイン、スウェーデン、チェコなどの企業城下町・成熟産業地域でも研究を進めてきました。一方で、身近なフィールドである九州においても、企業城下町の延岡市や新興工業都市の諫早市、地場産業産地の有田町、温泉観光地の別府市などでも調査を行ってきました。地域内外で経路依存的に構築されてきた主体間関係や技術軌道は様々で、One size fits allの対応では難しいことを実感させられます。今後も、学術・市場動向や地域の実態を踏まえながら、研究や政策提言を続けていきたいと考えています。
<写真>
ドイツ・ヴォルフスブルクのフォルクスワーゲン工場。「車の街」を意味する「アウトシュタット」という自動車のテーマパークが併設され、ドイツ国内でフォルクスワーゲンの新車を購入すると、ヴォルフスブルクまでの鉄道切符を渡され、アウトシュタットで工場からの納車を体験できる。
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