基幹教育院について

About Faculty of Arts and Science,Kyushu University

教員紹介

山崎 博史助教 Hiroshi Yamasaki

専門分野
多様性生物学・メイオベントス学
 幼いころから生き物の図鑑やテレビ番組を見る事が好きで、色々な形・色・生き様の生き物を見て、ワクワクする日々を過ごしていました。この好奇心を育み続けた結果、今では自ら生物多様性研究を行うに至っています。

 私の研究対象は「メイオベントス」あるいは「小型底生動物」と呼ばれる、砂のすきまに潜む、体長数百マイクロメートルから数ミリメートル程度の動物たちです。肉眼では認識する事が難しい小さな動物たちですが、実に多種多様な動物グループを含みます(具体的には、いわゆる「動物」に含まれる34のグループ(=動物門)の内、半数以上に当たる22グループがメイオベントス性種を含みます)。また、メイオベントスの個体数は非常に多く、近所のビーチで砂を一握り持って帰るだけでも、何百個体ものメイオベントスを見つける事ができます。このように「生物多様性の宝庫」と言えるメイオベントスですが、人目に付かない動物たちのため、研究が進んでおらず、未解明な事象に溢れています。私の研究では特に、「海産メイオベントスの種多様性の実態の解明」と「メイオベントスの多様性創出機構の解明」に焦点を当てて取り組んでいます。世界中の海域が研究対象地域ですが、とりわけ最近は「極域」のメイオベントスを研究する機会が多く、2018年に深海域や北極域、2022年に南極域のメイオベントスについて、研究論文を発表することができました。これで名実ともに「南極から北極まで、潮間帯から深海までがフィールド」と言えるようになりました。これまで30種以上の新種報告を行い、またいくつかの動物の系統進化学的研究を行いましたが、研究を進めるにつれ、ますます「知りたい」メイオベントスの生物多様性に関する疑問が沸き上がってきています。

 九州大学基幹教育院には2020年4月に着任しました。着任以前は、北海道、沖縄、ドイツで学生/ポスドクとして過ごし、また調査のために日本や世界各地を飛び回り、様々な地域の文化、人、環境に触れてきました。
 現在、基幹教育科目として自然科学総合実験などの実験科目を担当しています。生物学の基幹の一つである「生物多様性」研究の知見や日本・世界各地での経験を基幹教育に活かしていきたいと考えています。

<写真>
顕微鏡を駆使してメイオベントスを観察している様子(左)と、2022年に南極から新種として報告したメイオベントスの1種 Polacanthoderes shiraseae


 
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