基幹教育院について

About Faculty of Arts and Science,Kyushu University

教員紹介

中村 嘉雄教授 Yoshio Nakamura

専門分野
アメリカ文学
 令和5年4月に九州大学基幹教育院に着任しました。基幹教育院では英語関連の授業を主に担当しています。母校の九州大学で再び教育・研究に従事できるのも先輩、後輩、そしてご指導いただいた先生方のおかげです。修士課程、博士課程はもちろん旧箱崎キャンパス。昭和の気配の残る箱崎商店街で良くコンパもしましたが真面目な学問の話もたくさんしました。卒業後は人文科学府英語学・英文学講座や言語文化研究院の助手として採用していただきました。今でも思い出すのが言語文化研究院箱崎分室の事務室があった、旧応力研生産研本館(旧九州帝国大学法文学部本館)の冬の寒いこと。2階事務室の真下がエントランス・ホールで床から足へ寒さがじんわり伝わります。その後は他の教育機関で教鞭をとりましたが教育者、研究者としての大事なコアの大半を九州大学で学びました。

 私の専門、研究領域はアメリカ文学・文化で特に「身体」と「テクノロジー」の関係性について研究をしています。近年、ロボティクスでも「人間」と「ロボット」との「差異」を軸にした研究が進んでいますが、私の研究成果はそういった「違い」の歴史的なデータとしても活用できると考えています。平成30年度から令和2年度までの日本学術振興会科学研究費助成金事業基盤研究(C)では、19世紀後半からアメリカ流線型時代までのファッションに潜むテクノロジーについて研究をしました。ファッションは「身体」を包むものであることは当然ですが当時の「食」文化や「病」とも深いつながりがあります。スーパーでお目にかかるケロッグのコーンフレークや私の祖父も着ていたラクダシャツも実は当時の最新科学とテクノロジーの産物。そこにはメタボ・フリーな流線型ボディへの憧れがありました。その研究成果を昨年編著『モダンの身体──マシーン・アート・メディア』(小鳥遊書房、2022年)として上梓しました。現在研究を進めている令和3年度から令和5年度までの日本学術振興会科学研究費助成金事業基盤研究(C)では、時代範囲をアメリカの戦後から1950年代まで拡げ、アメリカの写真教育・芸術を方向づけた写真家の一人、ハリー・キャラハンの写真を軸に当時の「身体」とテクノロジーの関係性、その特徴の分析を行なっています。

 学問の種は意外と身近にあるものです。私は小さい頃からトラクターやコンバインのメカとオイルの匂いが好きでした。もう一つの好みが松本零士先生の『銀河鉄道999』。アニメ版第33話の「ウラトレスのネジの山」はDVDを今でも時々見返しています。私の研究はひょっとすると自分探しの意味もあるのかも知れません。
 
【図1】
【図2】

【図1】“Iron Whale Swims Ocean Bottom Like Fish” Modern Mechanix and Inventions Jul. 1933: 37.

【図2】“The Human System as a Factory” Pupular Mechanix Magazine Oct. 1928: 626.
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