基幹教育院について

About Faculty of Arts and Science,Kyushu University

教員紹介

吉田 ゆり教授 Yoshida Yuri

専門分野
臨床心理学・発達障害学
 北関東に生まれ育ち高校卒業までを過ごし、東京で大学・大学院生活を送り、その後、九州の地に移り住んでから、鹿児島に16年、長崎に12年、福岡に1年。九州島内を西海岸周りに北上して福岡に至り、もうすぐ30年になるところです。すっかり九州のひとになりました。でもいまだに醤油は“キッ●●マン丸大豆減塩醤油”を使っています。福岡で発見するのは至難の業で、少々困っています。

 専門は、臨床心理学、特に発達障害児者の心理支援です。九州に来てからの30年、心理臨床の実践の場に出向きながらそこでの気づきを研究につなげ、さらにその地域の課題解決を考えるというスタイルで、研究と臨床を続けてきました。東京では児童精神科や発達・教育相談などの個人臨床がほとんどでしたが、鹿児島・長崎では、加えて行政のまちづくりの仕事や大学運営に関わる中で、Diversity・Equity&Inclusionにはイノベーションが必要であり、特に共生社会の実現は、意識的で積極的なガバナンス、組織の意思決定による推進が喫緊の課題であることを強く感じるようになりました。九州大学では、インクルージョン支援推進室との併任をしつつ、基幹教育の中のアクセシビリティ科目を担当しています。社会のリーダーとなっていく学生たちが高いインクルーシブ意識をもって社会に出ていけるような教育、それが共生社会実現の最大の近道であると信じ、従事することが自らのミッションでありライフワークです。
 現在の研究テーマとしては、ADHD(注意欠如多動症)の青年・成人期を対象として、その原因帰属のあり方を明らかにしつつ、ADHD児者の二次的症状の重篤化予防や自己認知の育ちへの支援について取り組んでいます。「だって~が悪い!」と自分以外に失敗の原因を帰属するADHDの子どもの中には、適応の過程で社会的な望ましさを過剰に理解し、大人になると「いつでも・何でも・自分が悪い」と自分のせいにする負の抑うつ的原因帰属スタイルを持つことがあります。それが成人期初期の修業・生活や過剰適応の様相に影響を与えていることを明らかにすることで、二次的症状の重篤化を予防するような、幼児期から思春期、成人期に至る支援を見いだしたいと考えています。

 今後も基幹教育院でのインクルーシブ実現のための教育と、キャンパスライフ・健康支援センターでの臨床実践を通して得た気づきを、研究につなげていくスタイルを変わらず持ち続けたいです。

写真:ハワイで毎年開催される学会に時々行きます。アメリカの大学のCDS(Center on Disability Studies)に所属する研究者が多く参加します。年々、社会モデルに立脚する支援研究が増えている印象です。
一覧に戻る