教員紹介
飯嶋 裕治准教授
Yuji Iijima
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専門分野
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倫理学
九州大学に着任したのは2013年10月で、「基幹教育」というまったく新しいカリキュラムが始まるちょうど半年前のことでした。当時はその準備もいよいよ大詰めという段階で、私も同僚に誘われるがままに「基幹教育セミナー」という必修科目の開発作業に加わりました。具体的には、試行授業を実際に行ないつつ標準的な授業プランをブラッシュ・アップさせていったわけですが、毎週ワーキング・グループの教員たちが集まってああでもないこうでもないと議論をしながら新しい授業を作り上げていく過程に関わることができたのは、今から振り返れば、「文化祭の準備」のような濃密な時間であったとともに、一端の大学教員となるための貴重な学びの場でもあったのだと思います。またこのときの経験は、後に基幹教育の必修科目(セミナーと課題協学科目)の詳細な運営ノウハウを紹介する書籍『アクティブ・ラーナーを育む』の編者となった際にもおおいに役立ちました。
それから私の専門分野は、倫理学・哲学、日本思想史・文化史となります。特に、和辻哲郎という日本の倫理学者・思想史家の研究に長年取り組んでおり、博士論文を元にした著書『和辻哲郎の解釈学的倫理学』を上梓しています。私の和辻解釈の特徴は、彼の議論を「日本的」ないし「東洋的」な特殊性に還元してしまうのではなく、そこに「規範・意味」といったすぐれて「人間的」だと思われる現象に関する普遍的理論としての可能性を汲み取ろうとした点です。そして現在は、こうした和辻解釈の延長線上で、「知覚と行為の問題を「規範」を基軸として一体的に考える」という理論的問題に取り組んでおり、『規範と人間』というタイトルの著書を準備中です。
着任してからはや10年以上経ち、基幹教育にも、そして私自身に関しても、色々なことにひと区切りがついたという感があります。そのタイミングで奇しくもと言うべきか、2026年度より新たに寄附研究部門を立ち上げ、その責任者を任せていただく予定です。これまでの教育・研究活動の経験を存分に活かしつつ、様々な方々の力もお借りしながら、この新たな挑戦に初心にかえって取り組んでいきたいと考えています。
書影(左):次世代型大学教育開発センター(編)『アクティブ・ラーナーを育む──新時代を拓く基幹教育』(九州大学出版会、2020年)
https://kup.or.jp/booklist/ss/education/978-4-7985-0285-4.html
書影(右):拙著『和辻哲郎の解釈学的倫理学』(東京大学出版会、2019年)
https://www.utp.or.jp/book/b479963.html
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