教員紹介
瀧上 隆智教授
Takanori Takiue
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専門分野
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界面物理化学
早いもので理学研究院から基幹教育院へ異動して11年が経ちました。私の専門はコロイド・界面化学で、食品、化粧品、医薬品の基材として利用されている柔らかい界面吸着膜を対象に、その構造と機能との結びつきを物理化学の立場から研究してきました。現在は、それらを基に生体膜の構造と機能の相関の解明やモデル生体膜を利用した機能性ソフトマターの創製へと研究を展開しています。
さて、定年まで残り少なくなりましたので、これまでの歩みの一部を振り返りたいと思います。私は1984年に九州大学へ入学し、最初の1年半を六本松キャンパスで過ごしました。当時は教養部と呼ばれており、印象に残った科目が幾つかありますが、後のドイツ留学で役に立ったのは、第2外国語で選択した「ドイツ語」です。当時お世話になった津村先生には、文法以外にドイツの文化・歴史なども織り交ぜながら興味深くご教示頂きました。2年後期からは箱崎キャンパスに学びの場所を移し、専門である「化学」を広く・深く学ぶ機会を得ました。私は有機化学が好きで理学部・化学科に入学したのですが、化学の様々な領域の講義を受けるなかで、自然現象を数式で合理的に解釈する「化学熱力学」に惹かれるようになり、本村先生の物理化学研究室で卒業・修論研究を行いました。先生は飲み会の席でよく「豆腐はコロイド化学だよ。」と仰っておられ、研究室でのゼミなどを通して、高校時代には理解できなかった「凝析」や「塩析」の本質を知ることができました。
1994年に出身研究室の助手として着任後は、1年間のドイツ留学(1999~2000年)が私の研究のターニングポイントとなっています。ベルリン・ポツダム近郊にあるMax-Planck研究所(コロイド界面科学部門)に滞在し、Vollhardt先生の下で界面膜の構造研究について学びました。滞在期間中には、シンクロトロン放射光を利用した界面散乱の実験・解析を経験し、帰国後、SPring-8内ビームラインでの散乱計測装置の立ち上げにつながりました。これらの経験が現在の研究の礎となっています。ドイツ滞在では、教養部で習った片言のドイツ語のお陰で、現地の人との交流、役所での手続き等、多くの場面で役に立ちましたし、ドイツの歴史や文化を楽しむことができました。留学当時ベルリンは壁崩壊後、特に東側では急激な変化を遂げつつあり、街中には新旧ドイツ語標記(‘通り’というドイツ語表記/左は旧・右は新)された通りが混在するなど、今では味わえないものに数多く出会いました。ビールやソーセージ(ドイツ語で‘ヴルスト(Wurst)’)を堪能したことは言うまでもありません。
振り返ると、これまでの様々な人との出会いが、私の人生の財産になっていると痛切に感じています。今後もその関係を大切にしながら歩みたいと思います。
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