基幹教育院について

About Faculty of Arts and Science,Kyushu University

教員紹介

小島 健太郎准教授 Kentaro Kojima

専門分野
素粒子物理学
 「何からできているのか」を問うことは、私たちが何かを知ろうとするとき・理解しようとするときの基本的な視点の一つです。この知りかたを突き詰めることで自然界、つまり宇宙まるごとについて理解を進めてきたのが、素粒子物理学であり、私はその理論的な研究を主な専門としています。身の回りのあらゆる物質は原子・分子からできていますが、極めて短い距離(10のマイナス17乗 m!!)の現象を調べることで、それらはより基本的な要素であるクォークやレプトンという素粒子からできていることが確かめられています。素粒子物理学は「宇宙が何からできているのか」についてさまざまなことを明らかにしてきましたが、同時に多くの未解決の問題やアイディアも生み出してきています。たとえば、この宇宙には、私たちがまだ直接観測したことがない暗黒物質と呼ばれる素粒子が存在しているようです。また、現在の実験では技術的に検証が難しいような短い距離では、私たちの住む世界の容れ物とも言える空間は、私たちが知っている3次元を超えて、4次元目や5次元目の広がり(余剰次元)を持つ可能性があります。私は、この余剰次元のアイディアに着目した理論的研究を最近の主なテーマとしています。
 基幹教育院では、物理学の研究だけでなく、さまざまな学問分野に広く触れたり、教育に携わったりできることから、多くの学びの機会に恵まれています。このチャンスを生かして、自分にとって未知の領域にチャレンジしたり、研究・教育でいろんな方とコラボレーションしたりしながら、自分の専門領域を深めるとともに広げていこうと考えています。
 疑問が解決できたり、新しい発想によって視点が広がったりする経験に、研究や学びの楽しさを感じます。教育の場面では、そうした学びの楽しさを学生の皆さんにも実感してもらいたいと考えています。授業では、以前は教えることに気をとられがちでしたが、最近は少し肩の力を抜いて、教室や受講生の様子を深く知ろうと心がけるようになりました。受講生は、私には思いつかない問いを持っていることがあり、そのような問いと出会えることが、授業担当者としての楽しみの一つです。単に教える・教わるだけでなく、受講生の「なぜ?」に一緒に取り組む場としての授業をつくっていくことを目指しています。

出典:『基幹教育ニューズレター』第9号(2018秋)
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