基幹教育院について

About Faculty of Arts and Science,Kyushu University

教員紹介

早川 敏之准教授 Toshiyuki Hayakawa

専門分野
生命科学
 基幹教育院自然科学実験系部門の早川敏之です。基幹教育では、「課題協学科目」や「基幹教育セミナー」、理系ディシプリン科目の「生命の科学A」などを担当しています。また、もともとは生物学を専攻していましたが、研究ではヒト(人)の進化を対象としているため、専門は人類学といった方がいいかもしれません。そして、「我々はどこから来て、我々は何者で、我々はどこに行くのか」という疑問に、自然科学的な視点とともに人文社会学的な視点ももちつつ取り組んでいます。
 基幹教育院にお世話になって5年、アクティブラーナー育成に試行錯誤しつつ取り組んでいますが、その間教育と自分の研究との関連を強く意識するようになりました。それには理系と文系の先生方が一堂に会する基幹教育院の環境が関係しているようです。以前まで研究は「我々はどこから来たのか」、つまり我々ホモ・サピエンスにいたるルーツの分子進化学的な解明が主でした。しかし基幹教育院に来てから、「我々は何者で、我々はどこに行くのか」というホモ・サピエンスになってからの今と未来という、いささか生物学の範疇を超える研究に取り組み始めました。最近の研究から、私達は自らが生み出す文化・社会によって自身を進化させていること、そして自分とは異なった文化・社会背景をもった人々との共生が、我々の進化・発展の基盤であることが分かりつつあります。私達は自分たちの未来を決定でき、その未来へのよりよい決断には自分と異なる他者への寛容性が不可欠であり、文化を越え世代を越え学び合うことが大切なようです。このような私達についての理解を、アクティブラーナー育成に役立てていきたいと思っています。
 大学教員は、研究から学んだことを学生に伝えることも大切でしょう。私自身は、単なる知識の伝達ではなく、未来に向けての理念のようなものも一緒に学生に伝えていきたいと思っています。また、それが私なりのアクティブラーナー育成ではと考えています。教育と研究とは不二なのだと思う毎日です。

出典:『基幹教育ニューズレター』第9号(2018秋)
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