九州大学 基幹教育院 次世代型大学教育開発センター

準正課活動に関するFDを開催しました

令和2年1月31日(金)にカリキュラムを補完する準正課活動の設計に関するFDを開催しました。今回のFDでは、初年次全寮制と共に大学が多様な活動機会を提供している福岡女子大学から和栗百恵先生をお招きし、準正課・課外活動と正課教育との補完性に焦点を当てて、実践例をご紹介頂きました。質疑応答や参加者同士の意見交換では、学生中心の教育の在り方について議論を深めました。

開催概要

開催案内(PDF) ポスター(PDF)

【日時】令和2年1月31日(金)15:30~17:00
【会場】九州大学 伊都キャンパス
センター1号館1209号室

【定員】40名(先着順)
【参加費】無料
【対象】カリキュラム運営や設計に従事している大学教職員、カリキュラム運営や設計に関心のある大学教職員

【講師】
和栗百恵(福岡女子大学 国際文理学部・准教授)

 

開催報告

【参加者情報】
学外:14名(うち県外 5名)
学内:7名
合計:21名

【アンケート結果】

《参考になった点》(抜粋)

  • 準正課の定義がはっきりとしたことで、これからの企画・運営を行う際の参考になった。
  • 学生が関与している委員会活動の整理が必要である点は納得できた。
  • 準正課の取り組みを全学的な形にするご苦労・ご経験は参考になった。個別に行なっている準正課の活動を整理するだけでも相当な作業であったのではないかと思った。
  • 大学という文脈において、これから新しく何かに取り組もうとする際に応用できる気付きを得ることができた。

《分からなかった点・もっと説明してほしかった点》(抜粋)

  • トップダウンではなく、教員主導で準正課活動を設定する場合のアプローチの方法が知りたい。例えば、理系研究室で、学部学生のような研究室に所属する前の学生を対象に有給のインターンを実施したいと考えている。大学として取り扱ってもらうための方策や、それを支援する文科省の政策やプロジェクト等の情報をご存じだったら教えて頂きたい。
    【和栗先生からの回答】
    ・その「有給インターン」の目的はクリアになっていますか?その活動を通じて「学生がどのような能力等を培うことができるか?」の説得材料の準備をされていますか?
    ・「準正課」とするには、大学が組織的に、単位を課さずともその活動を学生の学習経験の中に必須と位置付けてる必要があります。
    ・教学マネジメントの担当者と、例えば大学(学部・学科)DPとの関連の中、想定されている「有給のインターン」活動を通じて育成できそうな資質・能力・スキル・知識があるかを話し合われてみるのが第1歩になるかもしれません。
    ・文科省は学士課程答申頃から、課外活動も含めて4年間の学習経験、という考えを示しています。
  • 準正課活動の教育的な効果をどのように測定しているのかについて、お聞きしたかった。
    【和栗先生からの回答】「測定」には至っていませんが、毎年実施する学生意識調査では全寮制で学びとれたものを記述する項目があります。学生委員の取組については、昨年度から「ナラティブ」として発信を始めているところです。
  • 準正課活動や課外活動で得られたコンピテンスをどのように測るのか知りたかった。
    【和栗先生からの回答】方法はいくつかあるかと思います。before/after自己評価的なものとするのか、アセスメントテストを用いるのか。本学では海外体験(正課)についてはPEPAを導入しています。
  • 教育学の一側面としてのカリキュラム研究の視座から準正課活動をどう捉えていくべきかをもう少し議論してみたいと思った。
    【和栗先生からの回答】Co-curricularの「Co」の検討ですね。「課外活動」が企図されないゆえの豊かな学びの土壌を持ってきたとすると、学習成果の可視化や教育の質保証といった言説が氾濫する中で、「カリキュラム」に吸収されてしまう危うさ(?)のようなものもありますね。
  • 夏の集中講座で準正課として開講していたものが、正課に変わったケースがある。それは、その科目の位置づけがどうというよりも、大変な労力のかかる科目で、単位が付かないことが学生から不評だったためというのが正課になるきっかけだったと聞いた。また、大学に近い場所で災害があり、復旧ボランティアとして学生が動員されたときも正課になったと聞いた。その際は、単なるボランティア参加だけで単位認定するわけにはいかないので、レポート等の課題を追加することで対応していた記憶がある。カリキュラム設計に基づかない、そのときの成り行きで出来ている科目も相当あるのではないかと思った。
    【和栗先生からの回答】「カリキュラム設計に基づかない、成り行きで出来ている科目」…課外活動に限らず、専門科目であっても「カリキュラム設計」を体現し得ない属人的な実践があるかもしれませんね。
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