日時:令和3年3月16日(火)13:30-15:00
会場:Zoomによるウェビナー
対応モジュール:大学教職員職能開発
┃大学教職員職能開発に関するFDを開催しました
令和3年3月16日(火)にFD講演会「九州大学オンライン授業のグッドプラクティス~リアルタイム型授業編」を開催しました。オンライン授業には、大きく分けて、講義時間割に沿って、学生がWeb会議システム等を利用して受講する形態である「リアルタイム(ライブ)型」と、学生が自分の都合の良い時間・場所でインターネット上に置かれた講義ビデオや講義資料等を用いて受講する形態である「オンデマンド型」があります。本FDは、2日間で実施し、「リアルタイム型授業編」「オンデマンド型授業編」としてそれぞれ1日ずつ実施します。当FDは、そのうちの「リアルタイム型授業編」に該当するものです。
┃開催概要
【日時】令和3年3月16日(火)13:30-15:00
【会場】Zoomによるウェビナー
【定員】300名(先着順)【参加費】無料
【対象】オンライン授業の実践に関心を持っている大学等教員
【講師】総括:野瀬健(基幹教育院教授・次世代型大学教育開発センター長)
司会:長沼祥太郎(教育改革推進本部講師)
登壇者:角田佳充(農学研究院教授)、石原健(理学研究院教授)・ 大西 湧己(システム生命科学府一貫性博士課程2年)、
荒川豊(システム情報学研究院教授)、坂口聡志(理学研究院准教授)、菅井裕一(工学研究院教授)
【プログラム】
1. 開会の挨拶
2. 学内調査アンケート紹介
3. 各講演の位置付け
4. 講演
5. 全体討論
6. 閉会の挨拶
┃講演関連資料
※登壇者以外の先生のものも含め、
※登壇者の先生方のご厚意により、当日の講演資料と録画資料のうち公開可能なものを一部共有いただいております(学生の個人情報に関する内容等は非公開とさせていただきます)。以下のリンクよりご覧ください。
角田佳充(農学研究院教授) 講演資料 動画(Youtube)
石原健(理学研究院教授) 講演資料 動画(Youtube)
荒川豊(システム情報学研究院教授) 講演資料 動画(Youtube)
坂口聡志(理学研究院准教授) 講演資料 動画(Youtube)
菅井裕一(工学研究院教授) 講演資料 動画(Youtube)
E-mail:kyoten★artsci.kyushu-u.ac.jp(★を@に置き換えて下さい。)
┃開催報告
【参加者情報】
学外:46名
学内:119名
合計:165名
【全体討論】
【角田先生へのご質問とご回答】
- Mentimeterの質問事項は即席で作ることができますか?
【角田先生からのご回答】即席も可能ですが、ある程度時間がかかり、講義の流れが悪くなるので、事前準備が好ましいと思います。 -
Mentimeter:答えを間違ったときの修正はできますか?
【角田先生からのご回答】設定上できないと思います。 -
授業の理解度(期末試験の成績など)は対面に比較してどうでしたか?
【角田先生からのご回答】期末試験をオンライン(資料持ち込み可)で行ったので、前年度との比較は難しいです。評価をオンライン試験で行うことについては、問題があると思っています。今後もオンラインで評価を行っていくには、よい方法を開発していく必要があると感じています。 -
Moodle にはクリッカーが組み込まれていますが、Mentimeter と比較して、Mentimeter を選択された理由をお教え下さい。
【角田先生からのご回答】Mooldeとzoomをパソコンの一つの画面で行うよりも、スマホの画面を使った方が学生が扱いやすいと考えたことが一つの理由です。また、Mentimeterではビジュアル的にかわいい絵が使われていて、講義に楽しい雰囲気が出ることを期待しました。 -
BookQ は使われなかったんでしょうか? ずっとディスク容量のことで Moodle じゃなくて BookQ を使うようにという連絡があったように思ったので、私はずっと BookQ に置いていましたが、リンクを張るのが面倒でした…
【角田先生からのご回答】BookQは使用経験がなく、詳しくないので使いませんでした。講義資料は、6枚のパワーポイントを1枚にしたPDFファイルにして、さらにPDFファイルとしてもかなり圧縮したものをMooldeにupすることで、ディスク容量についてある程度配慮したつもりです。BookQの利用については、認識不足だったかもしれません。 -
Mentimeterの回答は匿名でしょうか?その後も回答結果はどこかに保存されるのでしょうか?
【角田先生からのご回答】特に記入しなければ、匿名になります。学生によってはニックネーム等を入力していました。解答結果は、サーバー上に動画として保存され、問題作成者はダウンロードできます。本プレゼンのアイスブレイクの動画は、実際に講義で使用して、サーバーに保存されていたものを使いました。 -
対面講義も開始されますが、2021年度はどのぐらいオンライン講義の形態をとられますか。オンライン授業を実践してみて考えた、次年度以降の展望があればご教示ください。
【角田先生からのご回答】オンライン授業で意識したことは「双方向性」であったので、対面授業でも活用できる点については今後も活用していきたい。既に対面授業で行うよう指示が出ている科目もあるが、なかには対面授業に抵抗を感じる学生もいると思うので、希望者は自宅で受講することを認める「ハイブリッド方式」の導入も検討している。
【石原先生・大西さんへのご質問とご回答】
- TAさんの教育にも有効と思います.担当初めた当初から最終回まで,TAさんの成長について教えていただけますでしょうか(TAさん本人いらっしゃると答えにくいかもしれませんが)
【石原先生からのご回答】TAの経験を通して、質問に対する回答が上手になったと思う。今後、プレゼンテーションなどをした際にも質問等に対応できる力が身についたのではないか。
【大西さんからのご回答】質問に対して受け答えをする力はついたと思う。その他、学生の立場に立って、授業を理解するうえでどのような点にひっかかるかを考える力がついたと感じる。
- TAとの掛け合いでは、聴講学生はどのように参加する形となるのでしょうか?TAの授業への元々の理解度はどのぐらいに設定すべきですか?
【石原先生からのご回答】授業中に、チャット欄を活用して参加してもらっていた。TAがいることで授業の雰囲気がラフになり、質問など発言しやすい雰囲気が醸成されたと思う。その他にも、授業終了後にMoodleに質問コーナーを作ってやりとりをしたり、授業中に簡単な質問を用意して、TAにも参加してもらいつつ学生に回答してもらったりしていた。TAの理解度の設定は難しい問題であった。4つの授業をそれぞれ別のTAに担当してもらっていたが、進行メモは、各TAの理解度を意識しつつ「当て書き」をしていた。前提として、TAとのやりとりの内容は、理解度とは関係なくただちに答えられるような簡単な質問が8割程度になるよう意識していた。
- 対面講義も開始されますが、2021年度はどのぐらいオンライン講義の形態をとられますか。オンライン授業を実践してみて考えた、次年度以降の展望があればご教示ください。
【石原先生からのご回答】TAとの掛け合いは、オンライン授業に特化した方法であったと思う。対面授業でも行ってほしいという要望もあったが、TAにとって負担が大きいだろうと感じている。次年度は対面で授業を行うが、オンライン授業においてTAに対して投げかけたような質問のやりとりを学生とも行ってみたいと思っている。
【荒川先生へのご質問とご回答】
- 私もMoodle+Webex+Miro/Google Jamboardでグループワークを行いました。学生のSlackへの興味や積極性はいかがでしょうか?
【荒川先生からのご回答】学生は、当初はSlackに慣れていなかったが、授業後半になると見てくれるようになった。荒川研究室に所属している学生はもともとSlackを使い慣れていたので、各グループに研究室の学生を一人ずつ配置することで、グループ内でのSlack活用を促進してもらった。なお、外部講師の先生はslackを活用してくださったので、大学教員以外の外部講師が授業を担当するときには、MoodleよりもSlackがよいと思う。 - miro同時書き込みはどのぐらいの人数まで行きますか?有料と無料の違いと、授業利用での注意。miroとprezi、結構似ているように見えますが、どちらがどっちを完全に包含するということはあるでしょうか(ツールを絞りたいので)
【荒川先生からのご回答】同時書き込みについては、Unlimitedとしか表記されていなかったので、正確なところはわからない。授業では25名で行ったが、問題なかった。有料と無料の違いは、シート数の違い、作業内容をエクスポートするときの形式の違いなどである。無料だとシート数は少ないが、1シートにかなり多くの内容を書き込むことができるので、無料でもある程度は活用できると思う。ただ、大学として契約をしてもらうのがいちばん使いやすいとは思う。preziはプレゼンテーションのツールであり、miroはホワイトボードのツールであると捉えている。ホワイトボードをスライドショー形式で示してくれるという理解である。
【坂口先生へのご質問とご回答】
- teamsをお使いでしたら、授業の講義室を固定されれば、授業時間外もCHATで学生とやり取りできるように思われますが、Moodleとの使い分けをされていたので、そのメリットとデメリットなど教えて頂けますと幸いです。
【坂口先生からのご回答】Moodleに演習の問題をアップロードしていたことから、学生にとって、「Moodleを見れば必要な情報がすべて集まる」という環境を整えるために、情報をMoodleに集約・一元化していた。講義時間内でのチャットのやりとりもすべてMoodleに転載するようにしていた。次年度どのようなやり方が良いかは、学生と相談しながらあらためて検討したい。(コロナの影響がなかった)昨年度も、学生に複数の方法を示しながら軌道修正して柔軟に対応していた。 - 質問の窓口を多く設け,早く回答するというのは負担が大きかったですか?負担を減らすために工夫をされた点はありますでしょうか?
【坂口先生からのご回答】Moodleの通知機能などもあったので、そこまで負担には感じていなかった。演習問題では、質問されるポイントはほぼ固定されているので、すぐに対応しやすかった。一方で、オンデマンド講義(「身のまわりの物理学」の講義)については、「この製品はどうやって動いているのか」「人間は母音をどのように識別しているのか」など、すぐには回答できない質問があり、次回講義までに回答を準備するのに時間がかかった。ただ、こうした質問への対応は教員自身の成長につながるものであったと受け止めている。 - 対面講義も開始されますが、2021年度はどのぐらいオンライン講義の形態をとられますか。オンライン授業を実践してみて考えた、次年度以降の展望があればご教示ください。
【坂口先生からのご回答】オンライン授業の経験を通して、リアルタイムの対面授業だと学生は質問しにくいなどの課題があることを学んだ。次年度対面授業になっても、学生が質問しやすいように、さまざまな質問の窓口を用意しておくなど工夫したいと思う。講義の形態としては、角田先生のご指摘と同様にハイブリッド方式を想定している。Zoomの機能を活用すればそれほど負担なく実施できるように思う。
【菅井先生へのご質問とご回答】
- Moodleの小テストの計算問題を使えば、一人一人異なる数値問題を出すことができますが、これは使われなかったでしょうか。
【菅井先生からのご回答】slideなど本日紹介したツールは、以前の対面授業のときから使用していたものである。これに対して、Moodleはオンライン授業に移行してから使い始めたので、より使い慣れているツールやシステムを優先的に利用していた。
(質問者より情報提供)Moodleではパラメーターを設定することで、複数の異なる数値問題を作成できる機能がある。
- 対面講義も開始されますが、2021年度はどのぐらいオンライン講義の形態をとられますか。オンライン授業を実践してみて考えた、次年度以降の展望があればご教示ください。
【菅井先生からのご回答】工学部で「資源」を学ぶうえでは、石油や鉱物などに実際触れ、触感やにおいなどを感じてほしいと考えている。そのため、できるだけ対面で授業を行いたいという方針である。
【事務局からのご回答】
- Mentimeterのような便利なツールをリストで紹介するようなページが準備できますでしょうか?ほかにもいろいろあるかと思います.リンク集でも便利そうです.
【事務局からのご回答】事後のアンケートでこのようなツール(アプリ)の記入欄を設けたい。そこで参加者の皆様からも情報を集め、それも情報源として用いながらそのようなページを準備できないか検討する。
- (石原先生への質問)TAの仕組み、仕事内容・給与体制などはどのようになっておりますでしょうか?
【事務局からのご回答】「九州大学 ティーチング・アシスタント(TA)ハンドブック」で検索していただくと、仕組みおよび仕事内容が書かれたハンドブックがダウンロードできます。給与体制に関してはハンドブックには掲載しておりませんが、BTAは1,000円/h、ATAは1,400円/h、TFは1,900円/hとしております。
【アンケート結果】
《参考になった点》(抜粋)
- どの講演も参考になったが,MentimeterやSlidoなど各種ツールを活用した学生との交流方法が特に参考となった.自身も体験して,効果を実感した.
- どの先生も実際の授業の実演や授業の様子を交えて紹介して頂き、非常に参考になりました。特にMentimeterなどを用いたリアルタイムでのアンケートや質問、またTAとの掛け合いを入れるという方法は、オンライン形式での講義などで私自身が感じる不満点を解決しており、ぜひ取り入れたいと思いました。
- 来年度もオンライン授業、とりわけリアルタイム型授業を展開する上で、授業の途中でのクイズの実施などを通して、学生の授業参加感などを高めたい。
- TAとの掛け合いという発想には驚かされました.前期の対面授業で早速とりいれていこうと思います.この方法を対面でやるともはや漫才のようになりますが,TAに答えさせつつ,たまに学生にも答えさせるというやり方ができると思いました.また,クイズ形式を取り入れたアイスブレイクも発想が広がりました.学生対教員のやり方のみならず,グループで考えさせ,回答させるやりかたも有りだと思いました.
- 色々ツールをご紹介いただいて有難かったです.次年度は対面に戻ることになると思いますが,対面でクイズのような形で挙手させても反応が悪いことが多いので,スマートフォンを使ったクイズは対面でも効果があるように思いました.
- これまでMoodleのクリッカーを使っていましたが、Mentimeterやslidoはクリッカーより反応が速く便利そうなので、今後はこれらのツールを使いたいと思います。
全てですが、特にTAとの掛け合いによる進行(石原先生)、またMentimeterやslido(角田先生、菅井先生)の導入に興味を持ちました。 - MentimeterやMiroなどのツールを今後積極的に導入したいと思います。TAとのかけあいについても大変興味がありますので、機会があればやってみたいと思います。
- どのように双方向性を行なうとよいか、また受講する学生のモチベーションを高める手段(アプリ等)が多数あることが分かり、参考になった
- 学生とリアルタイムでやりとりするために、audience response systemを利用したい