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九州大学 基幹教育院 次世代型大学教育開発センター > 【開催報告】20211215 リベラルサイエンス教育開発FD 「教養科目としての統合科学:ビッグヒストリーで紡ぐ社会と自然科学」

【開催報告】20211215 リベラルサイエンス教育開発FD 「教養科目としての統合科学:ビッグヒストリーで紡ぐ社会と自然科学」

 

令和3年12月、FD講演会「教養科目としての統合科学:ビッグヒストリーで紡ぐ社会と自然科学」を開催しました。今回のFDでは、東北大学 高度教養教育・学生支援機構の中村教博先生を講師にお招きし、初年次教育における統合科学への取り組みをお話しいただき、その後、質疑応答の時間を設けました。

 

┃開催概要

開催案内(PDF)

 

【日時】
令和3年12月15日(水)13:00~15:00

【会場】
Zoom meeting によるオンライン開催

【定員】
100名(先着順)

【参加費】無料

【対象】 大学における教養教育や科目開発に関心のある大学等教職員

【講師】中村教博(東北大学 高度教養教育・学生支援機構 教授)

 

【プログラム】
1)ビッグヒストリーで紡ぐ社会と自然科学(中村教博 教授)
2)質疑応答

 


┃開催報告

 

【参加者情報】
 学外23名 学内32名 合計55名

 

【アンケート結果】(抜粋)

  • Big Historyという史観を知る良い機会になりました。
  • ビッグヒストリーのような話は、本でしか読めないと感じていたので、大学の授業にフォーマルにとりあげられていること自体が新鮮だった。
  • ビッグヒストリーそのものの考え方が参考になった。講義中の余談として他の学問との関連を述べることはあるが、それ自体を主題に体系的に述べるのは重要と感じた。
  • 一般教養科目の授業構成事例。特に科学分野の話をビッグヒストリーで結びつけること。受講生に分かりやすく伝える工夫やヒントが得られた。
  • ビッグヒストリーが扱う事象が通常の(通常思い浮かべる)「科学」とは多少異なるということを理解させるような説明はしたのでしょうか?あるいは、学生側からそういう議論は出てこなかったのか知りたかったです。

 

【質疑応答】(抜粋)

Q1 13回の授業レポートは、一人で採点しているのか。
A1 担当教員が3人いるので、レポートを見るのは一人あたり3回程度。それでも大変な作業なので、学生にはポイントを要約して記述する練習も兼ねて、A4用紙1枚以内にまとめるように伝えている。
Q2 授業で行うディスカッションの人数構成はどうなっているか。
A2 1グループ4~5人。議論のグループに踏み込み、議論内容を随時チェックしている。もし、フリーライダー(議論の場にはいるが参加していない者)がいたときは直接声がけをして、議論に巻き込ませるようにしている。
Q3 いろいろな学部の学生が混ざっての議論や活動において、その有効性をどのように感じているか。
A3 授業アンケートで、「いろんな学部が混ざることで、自分では考えつかない意見が聞けて良かった」という回答があった。学びの土台が違う学生同士でディスカッションすることで、対話の面白さに気づいてくれるのではないかと思う。九州大学の課題協学の授業も、似たような感じなのではないかと思う。
Q4 学内での協力体制(他分野教員の巻き込み)を今後の課題としてあげているが、具体的に知りたい。
A4 教員はとにかく忙しいので、彼らの専門分野とビッグヒストリーをからめて「先生ならこの部分だけを担当できませんか」と切り込んで(巻き込んで)いった。とはいえ、専門外の分野の教員に参加してもらうことは難しい。
Q5 授業でグループワークを行う際、「そもそもディスカッションって何?」という、学力以前に土台ができていない学生がおり、やる気のある学生との差が顕著で全体をまとめるのが大変である。どのような対応をされているか。
A5 本学にもディスカッションのやり方がわからない学生はいる。そういう学生には教員が個別に話すようにしている。一対一で対話して、意見を引き出せたらディスカッションの場に戻すようにしている。回数をこなせば慣れてくると思う。
Q6 (グループワークでの)グループは、どれくらいの頻度で変えているのか。本学の場合、学生はグループのメンバーに「当たりはずれ」があると感じる場合があるようだ。
A6 グループは毎回変えている。いくらランダムに選んでもハズレだと感じるグループが出現することは致し方ない。その場合は、教員が間に入って「どう思う?」と意見を促しファシリテートする必要がある。
Q7 「Big History に基づく教育だ」と言うための必須条件(あるいは、他でこのような実践をする際に押さえておきたいポイント)は何か。
A7 必須条件はない。「物事をさまざまなスケールで見渡せることができる」といった目標があれば、それが条件になると考えている。私は発想するときにどうしたらいいかという点に重きを置いているが、担当教員の得意分野に重点を置いてよいと思う。
Q8 複数教員で授業をする際、事前に意識のすり合わせをしているのか。
A8 特にしていないが、オンラインで講義を見てもらっている。授業参観のような意味合いと思っていただければよい。他の教員のテーマを見聞きすることで、自分が講義をする時に何となく同じ方向に進んでいる感覚を持ってもらえるのではないか。
Q9 ビッグヒストリー自体が、ディシプリンを超えた教養科目を統合する教材であるのに加えて、先生の場合は新しい理論や仮説をワークを通して追体験することで、科学の「考え方」を身に着けるということを意識しているのか。
A9 その通りだと思う。ディシプリンの内容は色々異なるが、問題にぶつかった時、それを解決する手続きをふんで新しい理論や考え方が生まれる。ならば、ディシプリンにこだわらない「考え方」の部分は文系理系関係ない。「考え方」の背景を理解してもらえると、将来、社会人になったときに(思考の違う相手との)コミュニケーションが楽になるのではないか。

 

 

【中村先生より講義後のご感想】

  • 自分自身を振り返ることができて、良い機会となった。
  • ビッグヒストリーに限らず、話し合いをするということは、本当に大切だと思う。

【参考】

  • OER PROJECT(ビッグヒストリーの教材、コミュニティ等)

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