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九州大学 基幹教育院 次世代型大学教育開発センター > 【開催報告】9/27(火)九州大学アクティブラーニング教室「反転授業とピア・インストラクションでつくる対話と深い学び」

【開催報告】9/27(火)九州大学アクティブラーニング教室「反転授業とピア・インストラクションでつくる対話と深い学び」

 令和4年9月27日(火)、九州大学アクティブラーニング教室「反転授業とピア・インストラクションでつくる対話と深い学び」をZoomミーティングで開催致しました。

 

 ピア・インストラクションとは、よく物理の分野で実践されている教育手法ですが、その手法は様々な学問領域に導入可能なグループ学習の一つです。また、反転授業とは、学生が講義内容を予め動画等で自習して、実際の授業では確認テストをしたり学生同士でグループワークをしたりして、学習内容の理解を深めるというものです。

 

 前半の講演では、
・反転授業とは何か
・ピア・インストラクションとは何か
・対話と深い学びを促す反転授業の設計
という3つのテーマを主軸に、それぞれの手法の概要や、小島先生が実践されている反転授業とPIのコンビネーションを、研究データや学生のコメントを交えて紹介されていました。
 また、ComentScreenを用いて問いを投げかけたり、質問を受け付けたりすることで、一方的に話すのではなく参加者と双方向のやりとりを適宜行っていたのが印象的でした。

 

 後半は、『反転授業とPIの活用を考える』というテーマで、もし自分の授業反転授業やPIを取り入れるならばどうするかという問いに、まずは個人で考え、その後、少人数のグループに分かれて意見を出し合うグループワークを行いました。自分の意見をアウトプットすることで思考が明確になり、意見交換をすることで問題点や方向性が明確になったのではないでしょうか。

 

【開催案内】

https://www.artsci.kyushu-u.ac.jp/~cfde/cms/wp-content/uploads/2022/07/20220927PI.pdf

 

【講師・ファシリテーター】

小島健太郎(九州大学 基幹教育院・准教授)

【プログラム】
15:30~16:40 講演とPI の体験
16:40~16:50 休憩
16:50~17:45 反転授業およびPI の活用を検討するワークショップ

【参加者数】

学外:24名 学内:4名 計28名


 

【アンケート結果】(抜粋)

  • PIと反転授業との相性がよくわかった。
  • PIについて、実践例を含めて理解を深めることができ、グループでも共有できた。
  • 反転授業の実践報告から授業デザインの方法がわかった。
  • 知識構築、という言葉が学びとなりました。わかってもらうために多様な角度から見直すということを学生にも伝えたいと思います。
  • 文系での反転学習の事例がもっと知りたいと思いました。

 

【Commentscreen及びアンケート上の質問に対する回答】(抜粋)

Q1 予習動画を視聴しない学生のために、直接講義せざるを得ないということを聞きますが、必ず予習動画を視聴するための仕掛けはどうされていますか?
A1 わたしの対処方法としては、授業の中で講義をしないことを徹底しています。講義動画自体は学期中いつでも見られるので、学習をしたければ見るというアクションを自分で選択しないといけません。
講義動画を見た後で発生した質問の投稿に対して、補足的に講義というやり方を取っています。
Q2 本質的問い、学生の興味をそそる問いはどうされていますか?
A2 問いそのものではありませんが、グループ学習(PI)における対話を通じて、問いに対する自分の理解を内省したり、多様な角度で見直したりすることを促しています。

Q3

Q4

・必ず「講義→PI」の流れなのでしょうか?

・PIと反転授業はどういうつながりになりますか?

A3

A4

典型的な手法は「講義→PI」です。ただ、グループ学習(PI)は、講義をする時間が減るというデメリットがあります。授業内でディスカッションすることで知識を構築するためにも、反転授業の精神にのっとって、講義を授業外に出しています。
Q5 PIではわかっている学生とわかっていない学生が混在するグループが想定されますが、これについては意図的なグルーピングをされていますか?
A5 高校での(物理の)履修状況が同じ学生達を担当する場合はランダムにグループ分けを行います。しかし、文系の学生を含む様々な学部学生の混成クラスの場合は、初回の授業でアンケートを取るなどして、理解度の高い学生を分散させてグループ分けを行っています。
Q6 仲のいい学生同士のグループの方がうまくいきますか?グループ作りに消極的で孤立してしまう学生に対する対応はどうされていますか?
A6 仲がいいと、気恥ずかしさがあったりなあなあになったりするなどデメリットもありますので一概には言えません。お題が決まっていて話す場合は、仲の良さは関係なく話せるのではないかと思います。
私の授業では、物理の話題に焦点を絞ってグループワークをするようにしています。
それでもグループ内で(意図的に)話さない、非協力的な態度で授業に臨んでいる場合は、個別に対応することもあります。
Q7 以前、ピアインストラクションの実践を行ったのですが、メンバーが、問いの捉え方を間違えていて、適正な議論にならなかったのですが・・・そんなこともやはり起こりますか?
A7 起こり得ると思います。PI後に教員が解説を行うのですが、それまでに変な方向に議論が進まないよう、わかりやすい問いにすることが大切だと思います。
Q8 反転授業ビデオの作成に、長時間90分の「講義ビデオ」を撮ってしまおうとする誤解があります。ビデオ時間を長くせず分割するとしても、本数・合計時間の上限には迷います。
A8 そうですね。90分の講義だから90分予習しなさいと言うと学生の意欲を削ぐので、分量は抑えないといけないと思います。
Q9 15分の予習動画を作成するために1時間以上の時間が必要になると思います。1度作れば翌年も使えるとは限らず、毎年、内容の改善作業が必要になるように思います。数年続けることで、その必要がなくなるものでしょうか?
A9 たしかに、毎年変えていると動画作成は大変かと思います。
物理に関していえば、年が変わってもあまり内容を変える必要はないので、1回高いクオリティできちんと制作すれば、長く使えるというメリットがあります。
Q10 PIの有効性や検証のために、物理分野以外(特に文科系)での概念テストのセットは存在しているのでしょうか?
A10 (存在については)存じません。もし、多肢選択式で直感的に応えられる問題であれば、センター試験などの問題の基本的なものを流用、応用することは可能なのかと思います。私の授業では、(予習した内容が問われないと学生が不満に思うので、)予習した内容に沿ったクイズを自分で考えて、オリジナル問題を作成したりすることもあります。
Q11 物理学を教えているが、学ぶ内容が多く、グループディスカッションする時間的余裕がなかなか取れません。内容の精選はどうされているのでしょうか?
A11 グループ学習を導入する際の悩ましい点の一つだと思います。私の場合も、どのように教える内容を精選すべきか、というのは未だに悩むことが多く、あまり有効な回答を持っておりません。お力になれず申し訳ありません。どのように精選するか、というご質問とは少しずれてしまいますが、反転授業形式にして講義を授業外に出すことで、学ぶ内容をあまり減らさずに、グループ学習にじっくり取り組む時間を確保できるようになるとは感じています。

 

 

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