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九州大学 基幹教育院 次世代型大学教育開発センター > 【開催報告】大学教職員職能開発FD「TF(ティーチング・フェロー)経験を通じて 大学院生の教育能力を高める」

【開催報告】大学教職員職能開発FD「TF(ティーチング・フェロー)経験を通じて 大学院生の教育能力を高める」

令和5年3月10日に、大学教職員職能開発FD「TF(ティーチング・フェロー)経験を通じて 大学院生の教育能力を高める」を開催しました。本研修では、九州大学のTA制度、TFの役割についての説明を行った後、実際にTFとして活動を行った3名の大学院生より報告がありました。モデレーターの長沼先生が学生に質問をしたり意見を聞いたりする対話形式の報告は、参加者の方々に概ね好評でした。

 

【日時】令和5年3月10日(金)13:00~14:30
【会場】Zoomによるオンライン開催
【会費】無料
【対象】学内外の大学教職員、大学院生等

【プログラム内容(抜粋)】
 ・ 講演1 九大のTA制度に関して(概要説明)
 ・ 講演2 TF養成科目について
 ・ 講演3 TF活動の実施報告
   ⻑沼祥太郎(教育改⾰推進本部)
   塚原壮平(九州⼤学⼤学院理学府 博⼠課程 後期 1 年)
   松尾美⾹(九州⼤学⼤学院理学府 博⼠課程 後期 2 年)
   阿部隼⼈(九州⼤学⼤学院⽣物資源環境科学府 博⼠課程 後期 1 年)
 ・ 事前質問への回答、質疑応答

 

 

┃開催報告

【参加者情報】

 学外:22名、学内:43名、合計:65名

 

【アンケート結果】

参考になった箇所(抜粋)

  • TF経験者による事例報告が大変参考になった。今回の対話形式の進行は大変良かった。
  • TFの大学院生からの報告に長沼先生が質問やコメントをしていく形式はとても分かり易かった。
  • 制度の概要だけでなく、TF経験者の話など実際の実務上の課題点なども含めて分かりやすく説明があり、勉強になった。

 

もっと説明してほしかった点、質問など

Q1 PFFPの授業設計の意図(その構成になっている点など)をご教示頂ければ幸いです。対面、オンデマンド、リアルタイムオンラインとブレンドされている点なども気になりました。
A1 本授業は、全体を通して逆向き設計論を徹底して教える構成になっています。そのため、本来TFとしては関与しないであろう、学習目標の設定や、評価課題の作成、シラバスの作り方に関しても学ぶ機会を与え、単にわかりやすい授業を行うだけではなく、一コマの中で全体としてどのように学生を成長させていくべきかに関して体系的に学ぶプログラムとなるように意図しています。また、いろいろな形式の授業を体験できるようにしているのは、これから大学で授業を持つ上で、それらを学習者の立場で経験しておくことが重要と考えたためです。
Q2 TFの方々が、PFFPでの内容と実際の授業実践との間で、どのような往還があったのか気になりました。
A2 TFの学生何名かに聞いたところ、自分が授業を行う前に、PFFPの授業資料を再度見直した、と言われていました。また、授業内で使用したセッションデザインシートを参考にしている学生もいるようです。
Q3 もし教員からTFの要請があってもその科目を専門とする学生がいない場合はどのように対応されるのでしょうか。
A3 九州大学TAポータルには教職員向けに「TA検索」「TA募集」のページがあり、教員が自ら求める専攻の学生を探して直接メールで声を掛けたり、また、公募を出すことができますので、そちらを活用していただくようにしています。なお、本日までに「TFがいなくて困る」というご相談をいただいたことはありません。
Q4 九州大学のTAやTFは理工系の学生が多いように感じましたが、人文社会系の学生もしくは人社系の授業ではTAやTSの需要はあまり多くないのでしょうか。
A4 これまでに、本学でTFを経験した学生の所属学府、及び修了者の中での割合は以下の通りです。
・理学府 8名(修了者の50%がTFを経験)
・工学府 6名(修了者の40%がTFが経験)
・人文科学府 5名(修了生の83%がTFを経験)
そのため、決して人文社会系の学生が少ないわけではありません。
Q5 貴学では、松尾さんの事例のような授業準備に要する時間に対して手当を支払っていらっしゃいますか?本学では手当は定額制です。所定の業務時間数内で業務を終えるようお願いしています。
A5 準備時間も考慮して予算申請していただくようにしています。便宜上、標準従事時間範囲を1単位 8コマ:12時間~36時間、2単位 15コマ:22.5時間~67.5時間に設定し、あまりにも逸脱する場合には理由を聴取したり、修正を依頼しています。学生への過度な負担を防ぐ為でもあります。 TA教育プログラムで単位取得可能なのはPFFP科目のみで、その他はできません。
Q6 TFのコース教員の声も聞いてみたかったです。また、授業効果調査を行っている場合その回答にTFの効果が見られるのかなど興味があります。
A6

昨年度TFを任用した教員からは、「教員側の負担も大きいが価値はある。一方で、TF学生には授業ではなく研究にもっと時間を使ってほしいという思いもある」という率直なお声をいただきました。効果の調査に関してはこれまでには行っておりません。

<事務局より>

TFを採用した教員のインタビュー記事は、教育改革推進本部のTAポータルよりご覧いただけます。こちらも併せてご覧ください。

TA・教員の声(九州大学TAポータル)

Q7

TFが講義授業の一部を担当することが、教員が担当することと比べて、授業を受講する学生にとってどのようなメリットがあるのかを、もう少し具体的な例で教えていただければ幸いです。

A7

今回の塚原さんのご報告にあった通り、中間的な存在というところかなと考えています。より具体的には、「教員が見落としがちな、学生が間違えやすいポイントに気づける」「TFだから、質問をする際の障壁が小さい」などが考えられます。

Q8

TFが一部担当した授業について、受講する学生側からはどのようなコメントや意見がありましたか。

A8

教員からは、『受講生からは「同じ学生である立場で授業を進めることができ、普段は質問しにくい質問などを聞きながらお互いに活発に議論することができた」、「授業内容だけではなく、研究上や生活上などの不安な点も気楽に聞く時間にもなった」という感想があり、評判が良かった。』との報告を受けています。

Q9

同じTFが同じ科目を複数回担当すれば慣れてきて楽であるが、TFが変わる度に教員の負担は増えるのではないでしょうか。或いは、教員も自分の指導生がもっと研究に専念してほしいので、TFとして雇用しない例はあるでしょうか。一方、TFも授業担当することにより、研究時間が減るから担当したがらないケースはないでしょうか。研究と教育の相乗効果について、よい例があれば教えていただきたいです。

A9

それはおっしゃる通りですね。実際、同一の学生が同科目を複数回担当する場合が多く見受けられるのは、これが一部の原因の可能性があります。また、懸念されている事項に関しては、実際そのようなケースが発生したことを直接確認しているわけではありませんが、あり得ると考えています。ここはとても難しいところなのですが、就職において、教育業績を積んでおくこと、シラバスを書く練習をしておくことが役立つ場合もあるのが事実です。TF活動は、大学側が義務として提示しているわけではなく、教員と学生で相談し、うまく「活用」していただくことを意図しているものです。相乗効果としては、こちらでそこまで重視していたわけではありませんが、授業内で模擬授業の練習をしてフィードバックをたくさんもらったことで、学会でうまくプレゼンをすることができ、受賞できた、というような声をいただいたことはあります。

Q10
Q11

報告を行ってくださった学生さんへ質問です。

(1)TFとして授業、実習科目の準備により、自身の研究時間が削られてしまったとネガティブに感じたことはありましたか?
一方で、
(2)勉強をし直すことで、研究への新たなアイデアが生まれたといったポジティブなことを経験できたなどありましたか?

A10
A11

<塚原さんの回答>
(1)やはりはじめの方は資料作成に時間を取られてしまっていたことは否めません。しかし、これから教員を目指す上では研究と教育活動の両立は必須であると考え、研究時間を確保しつつ万全の準備をする訓練であるという意識の下でTF活動に取り組んでいました。実際、経験が蓄積されるにつれて準備の効率も良くなっていったので、後半は特に研究との両立でネガティブに感じることはありませんでした。今後教育活動に取り組む際のことも考えれば、トータルではかなりプラスであったと感じています。
(2)研究につながる基礎的な事柄についてより知識体系が整理されたと実感しています。自分の場合、断熱過程や熱力学第2法則、授業では扱いませんでしたが諸々の熱力学的関数について知識を整理できたことで、現在取り組んでいるブラックホールの絡む問題を考える際の見通しが格段に良くなりました。特に基礎的な科目の場合、学年が上がるにつれて復習する時間を捻出することも難しくなってきますので、TFという機会はかなり貴重であるように感じました。

<松尾さんの回答>
(1)授業準備のため、実際に研究時間は削られました。しかし、研究時間が減ってしまうデメリットよりもTF活動によって得られた経験・学びの方に大きなメリットを感じました。
(2)授業準備による勉強は自分に研究に対して大きなメリットを生み出しました。 研究を対象とするピンポイントな学習と異なって、今回は全体像からアプローチする学習に取り組んだので、格段に科学的視野が広くなったと感じています。

<阿部さんの回答>
(1)ありました。ただし、将来大学教員などアカデミックキャリアを志望するモチベーションでTFに参加したので、研究とTF準備の両立の難しさは、将来像をより具体的に把握できるきっかけになりました。
(2)ありました。私が専門として勉強している森林科学は、多くの研究が野外(森林)での観察をきっかけに研究を行います。今回TFとして参加した実習で、実際に様々な意見を出しながら野外観察したり、学生が得たデータを再度分析することができ、新たな研究への勘所を得ることができました。

 

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