RESEARCH 研究内容

私たちの研究室では、
以下3つの研究について主に
取り組んでいます。

1 65歳以上の市民を対象とした健康長寿の実現に資する研究・事業

2017年4月より、福岡県糸島市と協力して、要介護化の抑制や先送りに関する研究(糸島幸福長寿研究:Itoshima Felix Study)を行っています。フレイルは「虚弱」を意味し、要介護状態を早める要因の一つと言われています。年齢を重ねるとともに、体・心・社会・認知といった様々な面が自然に衰えていきます。よく、「年をとったから、仕方がない。」という言葉を耳にしますが、その衰えは本当に年相応でしょうか。

糸島幸福長寿研究は、糸島市にお住いの65〜75歳の皆様を対象に、フレイル状態を定期的に確認し、フレイルの予防や健康づくりの推進のため、各種の教室や遠隔通信型プログラムを実施しています。得られる情報をもとに、フレイル予防や健康づくりに有効な要因を探っています。さらに、糸島市内での事業展開を想定した運動以外の健康づくり教室(口腔機能など)の効果も検証・事業評価をしています。

2019年以降、フレイルの重症化予防を目指し開催した運動教室は、その後、「フレイル予防の運動サークル」として市民によって自主組織化されました。現在、市内に9ヶ所、合計130名ほどの皆様がサークル会員として運動を継続しています。このサークルでは、会員同士で健康づくり活動を支え合いながら、研究協力者として最新の研究づくり研究を体験することができますので、「研究をフル活用して、自分の健康度を高める」ことができます。

「記録することで、体重や体型の管理ができる」といったことと同じ様に、自身の健康状態を定期的にチェックすること(または機会を設けること)が、健康を維持するには有効です。我々は上述のように「研究に参加し、研究を利用して、自分の健康状態を効率よく高める」ことを推進しています。その他にも、市民の皆様には、糸島幸福長寿研究が関わる様々な研究調査や製品開発の中で、モニターさん(お試し)として参加したり、調査スタッフとして研究を支えたり、様々な方法で研究を身近に感じていただいています。

※上記動画をクリックすると、音声がすぐに流れるものがありますので注意してください。

2 フレイルの重症化予防に関するコホート統合研究

福岡県下の3つの市区町村に住む65歳以上の住民を対象に、複数の大学研究者と協力して統合研究のための基盤を構築しています。統合研究を行うことによって研究精度を高め、フレイルの重症化予防や要介護化の先送りに有効な予測因子を解明したり、生活習慣プログラムを提案したりすることを目指しています。

市区町村では、それぞれに特色のある取り組みが行われています。例えば、地域独自の体操や、楽器や器材を使った教室などです。それらの取り組みは、その地域に古くから伝わる伝統的なものや、大学等との協働成果が地域に定着したものまで様々です。私たちは、このような地域特有の健康づくりを大事に守りたいと考えています。さらに、現在開発を進めている遠隔通信システムを使って、それぞれの居住地域に居ながら、他の地域特有の取り組みが体験できる「地域を超えたフレイル予防・要介護化抑制」を目指して研究・事業活動をしています。

3 大学生の生活習慣とメンタルヘルス・学業成績に関する疫学研究

大学生になると、それ以前の決められた学業や生活とは一変して、自主性と意思決定が求められます。初めての一人暮らしが始まる大学生も多くいるでしょう。このような生活の変化は、楽しい・嬉しい反面、不安やストレスも高くなり、身体的にも精神的にも不安定な状態となる大学生も少なくありません。

私たちは、大学新入生を対象に、入学後に学部1年の6〜7月ごろに、生活習慣や人間関係などのアンケート調査を行っています。このデータをもとに、どのような生活習慣がメンタルヘルスを低下させるのか、学業成績が向上する生活習慣パターンが存在するのか等の研究を行っています。