日時:令和元年8月23日(金)15:30-17:30
会場:九州大学 伊都キャンパス センター1号館4階1409教室
対応モジュール:大学教職員職能開発
┃九大AL教室(ピア・インストラクション)を開催しました
令和元年8月23日(金)に九州大学アクティブラーニング教室「ピア・インストラクションによるグループ学習」を開催しました。今回のアクティブラーニング教室では、物理教育のために開発され、近年では多様な教育現場でも用いられるようになっているピア・インストラクション(PI)を取り上げました。前半は、典型的なPIの流れや、PIを実施する際に注意すべきポイントなどについて、小島健太郎先生に解説して頂きました。後半には、参加者それぞれが担当する授業を想定してPI導入の可能性を具体的に検討し、意見交換を行いました。
┃開催概要
【日時】令和元年8月23日(金)15:30~17:30
【会場】九州大学 伊都キャンパス
センター1号館4階1409教室
【定員】40名(先着順)
【参加費】無料
【対象】ピア・インストラクションに関心のある大学教員、高校教員、大学院生
【講師】小島健太郎(九州大学 基幹教育院・准教授)
【プログラム】
15:30~16:30 講演とピア・インストラクションの体験
16:30~16:40 休憩
16:40~17:30 ピア・インストラクションの活用を検討するワークショップ
┃開催報告
【参加者情報】
学外:8名(うち県外 1名)
学内:14名
合計:22名
【アンケート結果】
《満足度》
満足:10 概ね満足:3 どちらともいえない:0 やや不満足:0 不満足:0
《参考になった点》(抜粋)
- ピア・インストラクションの手法を初めて知ったので、授業の導入として取り入れたい。
- ピア・インストラクションの講義を設計する上でのコツが分かった。また、小島先生の実際の経験を共有して頂いたのも非常に役に立った。
- 問題の設定の仕方や、ピア・インストラクションを取り入れた授業での学生の雰囲気、クリッカーほか機器の活かし方など、具体的な様子が良く分かり参考になった。
- ワークシートを利用して、自分の考えを文章や図式化により議論を活発化するところが参考になった。
- 物理を教えているので、コンセプテストが勉強になった。また、その作り方を学べたのは有益だった。
《分からなかった点・もっと説明してほしかった点》(抜粋)
- 授業の部分の展開例や予習用の動画についての情報も知りたかった。
【小島先生からの回答】詳しいご説明ができず、申し訳ありませんでした。予習用の動画は、映像はパワーポイントのスライドで、音声にナレーションが入った程度の簡単なものを利用しています。反転学習については、また別の機会にご紹介する場を企画できればと考えております。 - 解答の示し方やその後の解説の仕方について教えてほしい。
【小島先生からの回答】私がピア・インストラクションを授業で実施する際、プレ・ポストの回答の正答率に応じて、回答の示し方や解説の仕方を変えています。例えば、プレの正答率が80%を超える場合などは、その場で正解を示し簡単な解説を行い、議論やポスト回答をスキップして、次の問題に進めます。また、ポストの正答率があまり高くない場合は、正解と解説を示したのち、理解できたかをクリッカーで回答させる、ということを行ったりします。 - ピア・インストラクションは、その発祥から見ても自然科学系の授業に有効であるように思った。他方で、いわゆる文系の授業の場合、共有すべき概念的理解や、「正解」とすべき事柄を設定しにくいようにも感じ、直接そのまま取り入れるのは難しいようにも感じた。しかし、誤った理解を意識化するプロセスなど、工夫次第で応用できる要素は多いとも思うので、活用していきたい。
【小島先生からの回答】今回は物理学での事例をもとにピア・インストラクションをご紹介しました。ご指摘頂いたように、科目や授業によっては、今回ご紹介したやり方をそのままは活用しにくい場合もあると思います。ピア・インストラクションの基本的な考え方をもとに、授業に適したやり方を開発・実践していくのが良いのではないかと思います。 - 物理学以外の問題例があればご紹介頂ければと思いました。例えば、ピア・インストラクションの手法を用いた物理学以外の九州大学での授業はあるのでしょうか。
【小島先生からの回答】申し訳ありませんが、九州大学での他の事例は、私は把握しておりません。問題例はすぐにはご紹介できませんが、参考文献としてご紹介した論文“Research-Based Implementation of Peer Instruction: A Literature Review”の補助資料(supplemental material)で多様な分野の事例が収集されているため、ご参考になるかもしれません。 - ピアインストラクションがいわゆるアクティブラーニング型の授業手法としてどのような位置づけなのか、ご教示頂きたかった。例えば、ピア・インストラクションは物理学における誤概念の理解をどう高めるかという問題意識に対応する形で開発された経緯があるとのことだったが、そもそも授業実践における学習効果の阻害要因として誤概念理解という課題のほかにどのような課題が問題となっているのか、それに対してどのような教授法が提案されているのか、というようにインストラクショナルデザインに関する背景知識があれば、数ある教授法の中でピア・インストラクションがどのような特質をもった手法なのかをつかむことができ、今回の参加者の学習効果もより向上するのではないかと思った。
【小島先生からの回答】ご指摘ありがとうございます。今後のFDの内容を検討する際の参考にさせて頂きます。なお、不十分かもしれませんが、いくつかコメントを付け加えさせて頂きます。アクティブラーニング手法としてのピア・インストラクションの特徴は、大人数の講義で取り入れやすい点が挙げられます。また、ピア・インストラクション(およびその応用)の利用範囲は広く、さまざまな目的で利用することができます。例えば、概念理解を狙うのではなく、授業への参加意識や学習の動機付けを高めるために使うことも可能です。 - もう少し問いづくりのワークショプをしたかった。
【小島先生からの回答】ワークショップの時間が不足し、申し訳ありませんでした。また機会がありましたら、問い作りのワークショップを中心にしたFDなども企画させて頂ければと考えています。
《その他》(抜粋)
- クリッカーの貸し出しはして頂けるのでしょうか。
【事務局からの回答】ご質問ありがとうございます。学内の方には、情報相談室(センター1号館4階)から貸し出し可能です。また、小島先生からも紹介がありましたが、九州大学Moodle上にもクリッカー機能がございますので、ご活用下さい。 - 可能であれば、土曜の午後に開催されると参加し易いです。
【事務局からの回答】ご要望ありがとうございます。平日開催の希望もあり、最近は平日開催をしております。土曜開催の希望が今後も増えるようであれば、土曜開催も検討したいと思います。 - 2回目の受講ですが、毎回参加者の所属が様々で、とても勉強になる。
【事務局からの回答】コメントありがとうございます。大学教職員だけでなく、大学院生や高校教員などの多様な方々が参加して頂いているのが本センターのFDの特徴の一つです。多様な方々に開かれた場を今後も企画していきたいと思っております。