日時:令和3年3月29日(月)15:30~17:30
会場:zoomによるオンライン配信
対応モジュール:
大学教職員職能開発
┃大学教職員職能開発に関するFDを開催しました
令和3年3月29日、九州大学アクティブラーニング教室 「ピア・インストラクションを中心としたオンライン反転授業」を開催しました。今回の大学教職員職能開発FDでは、九州大学基幹教育院の小島健太郎先生より、ピア・インストラクション(PI)を中心にしたオンライン反転授業の実施例のご紹介があり、典型的な PI の流れや、PI を実施する際に注意すべきポイントなどについても解説していただきました。また後半では、参加者それぞれが担当する授業を想定して PI 導入の可能性を具体的に検討し、アイディアや意見を交換を行いました。
┃開催概要
【日時】令和3年3月29日(月)15:30~17:30
【会場】zoomによるオンライン配信
【定員】32名(先着順)
【参加費】無料
【対象】アクティブラーニングに関心のある大学教職員、大学生・大学院生、高校教職員
【講師・ファシリテーター】小島健太郎(九州大学 基幹教育院・准教授)
【プログラム】(予定)
15:30~16:30 講演とPI の体験
16:30~16:40 休憩
16:40~17:30 PI の活用を検討するワークショップ
┃開催報告
【参加者情報】
学外16名、学内8名、合計24名
【アンケート結果】
《参考になった点》(抜粋)
- PI、反転授業の定義付けや手法は幾つかあると思うが、今回の定義付けや手法は腑に落ちるところがあった。「徹底する」ということを心がけて試行してみようと思う。これまでは様々な手法を組み合わせすぎて、結局曖昧でわかりにくい取組になっていたように思う。
- 反転授業、PIともにそれなりに内容はわかっていたつもりであったが、特にPIについてはあらためてそのエッセンスを再確認できた点は参考になった。PIは取り入れてみたい。ただし、身の回りの現象で誤概念があるものはPIを設計しやすいと思いますが、そうでないものに対して有効PIが成立する題材(ネタ)が難しく感じます。
- ピアインストラクション、反転学習はいずれも、授業の時間を大事にしたあるべき姿だと感じ、毎回ではなくても15回の授業のうち数回は取り入れたいと感じました。
- ブレイクアウトルームセッションでの意見交換で新鮮な発見がありました。
《分からなかった点・もっと説明してほしかった点》(抜粋)
- PIの時のクイズは必ず多肢選択でないといけないのですか?
【小島先生からのご回答】通常、PI では多肢選択の問題に対してクリッカーなどで解答させるプロセスを経ます。多肢選択のメリットは、解答状況から学習者の考えに違いがあることが(教師にも学習者にも)容易に把握できることや、正答だけでなく(誤概念などに基づく)誤答を設定できることだと思います。ただし、問いの設定の仕方次第では、必ずしも多肢選択である必要はないと思います。 -
力学における誤概念のように有効PIが成立する題材(ネタ)をより広い範囲で見つける一般化された方法を(入門物理学の次の段階における具体的な実例を通して)知りたい。たとえば、(目に見えない電場・磁場を扱うためとっくきにくいとしばしば言われる)電磁気学の分野ではそのような題材(ネタ)があるのでしょうか?
【小島先生からのご回答】ご質問頂きましたとおり、例えば電磁気学のような題材になると、そもそも初学者は関連する(誤)概念すら持たないため、多肢選択式問題は初等力学に比べると作成が難しい印象があります。私も電磁気学や熱力学でPI 的な活動を取り入れた授業を行っていますが、そこでは多肢選択問題にあまり拘らず、ワークシート記載した簡単な演習問題を解かせて、それについて議論させることもあります。また、物理教育研究では、電磁気学について例えば[1] のような概念調査問題がいくつか開発されております。こうした調査問題を参考に、多肢選択式の問題を作成していくのも一つの方法ではないかと思います。[1] L. Ding, R. Chabay, B. Sherwood, and R. Beichner, Evaluating an electricity and magnetism assessment tool: Brief electricity and magnetism assessment, Phys. Rev. ST Phys. Educ. Res. 2 (1), 7 (2006).
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特に質問ではなく悩みの部分ですが、今後対面が原則となるなか
で、グループワーク等をメインとした授業をためらう部分もあります。その分オ ンラインでのブレイクアウト等の方が気にせず思いっきりピアインストラクショ ンができる環境の方が良いようにも思いますが…現在の社会情勢のなかで、対面 でピアインストラクションやグループワークを行う際の工夫や方針などがあれば 聞いてみればよかったなと思っています(対面だが、オンラインデバイスを使っ てグループワークなど?、それとももう気にせず今まで通り対面でやるなど)
【小島先生からのご回答】今後、対面での授業を行う上で、感染症への対策と、PI のようなグループ活動との両立をどのようにすべきかは、大変難しい問題だと思います。全てを対面で行うのではなく、例えば授業は対面とし、グループワークはオンラ インとするなど、対面とオンラインの併用を行うなどの工夫が有効ではないかと 考えています。