2022年11月29日に、九州大学アクティブラーニング教室「体験優先型実践的食育『自炊塾』を通じたアクティブラーナーの育成」が開催されました。
【日時】令和4年11月29日(火)14:00~17:00
【会場】九州大学 伊都キャンパス(オンライン配信とのハイブリッド開催)
【対象】アクティブラーニング教育や自炊塾の取り組みに関心のある大学教職員、大学生・大学院生、高校教職員等
【講師】比良松道一(九州大学持続可能な社会のための決断科学センター・准教授)
——-開催報告——-
【参加者数】
学外:28名 学内:10名 計:38名
【おしながき(プログラム)】
- 自炊塾の背景
- ワーク1(利き味噌)
- 味噌についての解説
- 料理と文化伝承について
- 自炊塾受講者へのインタビュー
- ワーク2(味噌汁ビュッフェ)
- 質疑応答
講義の前半では、自炊塾を開催するきっかけや自炊塾の概要を比良松先生にご講演いただきました。
大学生を含め、近年、日本人がお米を食べないこと。また、それは母から子へ、人から人へ料理を伝えそして覚えるという文化伝承の危機であること。
その危機を解消すべく、手料理というツールを通じて、行動変容を起こす(他者の気持ちを汲みつつ自発的に動けるようになる)こと目指して自炊塾は始まったのだそうです。
自炊塾の概要を学習した後は、対面参加者には『ききみそ』を体験していただきました。
【ききみそ】
・五種類の味噌の味をリポーターになったつもりで表現
・味比べをすることで、自分の好みの味というものに気付く
『味噌を知ると味噌汁が楽しくなる。』
講義の後半では、味噌ができる工程の話からはじまり、 参加者は、知れば知るほど奥が深い味噌の話に深く頷いていました。
味噌に限らず、自炊をすることで、
「どうしてこうなるんだろう?」
「これをすればこうなるんだ!」
という問いや、それに対する答えを自分で得ることができます。
そんな体験や知識を得たうえで、自分で考えて行動する人が増えるのだと比良松先生は言います。
五感から得られる学びがある。
まさに、
『考えるな、感じろ(ブルース・リー)』
ですね。
講義の終盤は、利き味噌を行った五種類の味噌を用いて、味噌汁ビュッフェを行いました。
参加者の方々は自分で具材や味噌を選んで味噌汁を作り、時世柄、分け合うことはできませんでしたが、感想はお隣の人とシェアしていました。
ワークの様子や味噌の奥深さについて、オンライン参加者の方には上手に伝えることができなかったことは今後の課題ですが、参加形態にかかわらず、講師や受講生の方に質問が飛び交い、とても白熱した3時間でした。
<アンケートより参加者の声(抜粋)>
- 学生の生の声を聞くことができ、非常に参考になった
- 自炊塾の実践的な活動をまずは学内で、課外活動的に行っていきたいです(学校が認めてくれるかは別ですが・・・)
- 参加者の方との会話などを通して、対面ならではの五感を使った学びができた
- 映像等で一方的な情報でわかった気になるのと、自分自身が体験して腹落ちするのでは随分違うと思います
- 食べたり、実施する内容はオンラインでは分からないので、2部に分けて退出したい人は退出できるようにすると良い
<研修内で紹介されていた書籍>
- 泣きみそ校長と弁当の日(竹下和男・渡邊美穂著/西日本新聞社)
- 18歳からの自炊塾 九州大学 生き方が変わる3か月(比良松道一著/家の光協会)
- お味噌知る。(土井善晴・土井光著/世界文化社)
- 文化がヒトを進化させた(ジョセフ・ヘンリック著/白揚社)
- 縁食論 孤食と共食のあいだ(藤原辰史著/ミシマ社)
<参考>
「自炊塾」、九州大の人気講義は何がスゴいのか
https://toyokeizai.net/articles/-/285778