令和5年3月15日に、九州大学アクティブラーニング教室 「ワークショップ:TBLを始めてみませんか」を開催しました。
TBL(Team Based Learning)とは、事前に学習した内容に対して小テストを行い結果をグループ内で話し合って理解を深めるという、グループ学習中心の教育手法です。オンラインで開催することは初めての試みでしたが、LMS(Learning Management System:学習管理システム)のMoodleを用いて学習した内容をZoomのブレイクアウトルームでディスカッションを行うという相互学習を、約30名の参加者に体験していただきました。
【日時】令和5年3月15日(水)13:00~15:00
【会場】Zoomによるオンライン配信
【講師】三木洋一郎(九州大学基幹教育院・教授)
【会費】無料
【対象】大学教職員、TBLにご関心のある教育関係者
┃開催報告
【参加者情報】
学外:25名、学内:9名、合計:34名
【質疑応答】(発言内の表現は短く修正しています。)
- チーム学習を行うにあたり最適な人数はありますか。
【三木先生の回答】サブグループが発生せず、かつ、議論が発生する5~7人が最適だと言われています。少ないほうがいいので、5人くらいがいいです。 - オンラインでの実施の場合、教員がグループの様子を見に各ブレイクアウトセッションを覗きに行くことは大丈夫でしょうか?
【三木先生の回答】もちろん見に行って構いません。答えを教える行為は良くありませんが、ファシリテータという立場であちらこちらで話を聞いたり意見を述べることはやるべきだと思います。 - この手法に適する教科,適さない教科の見極めはありますか?
【三木先生の回答】適さない教科はないと思いますが、一定の手法で答えがすぐ出る領域では、課題を作るのが難しいと感じています。その場合は課題へのアプローチの段階で使うことはできると思います。 - 5~7人でで行うと学習者の中に自然とリーダー的な存在ができることがあると思うのですが、その人の評価はピア評価でグループが判断すればよいという感じでしょうか。本当はそれぞれ積極的な参加できる課題が最善なのだとは思うのですが。
【三木先生の回答】これは大きな課題ですね。各学習者が(チームで一員であるという)自覚をもって課題に取り組んでくださいね、最終的に評価されますよ、というスタンスで良いのではないかと思います。 - MoodleでtRATをやってみて、設問が終わってすぐにフィードバックがあればよかったのになと思いました。
【三木先生の回答】間違った方向に議論が進んでいる時に、回答を開いた段階でこういう点が違っていますとMoodleで表示させることは可能ですね。ご指摘ありがとうございました。 - tRATのフィードバックの方法について、スクラッチカードについてもう少し詳しく知りたいです。一つ一つ止めながら答えを教えていく形でしょうか。
【三木先生の回答】時間内に問題が解ければ、解く順番はグループ内で自由に決めていいです。教員は関与しなくていいのがスクラッチカードの利点なんです。答えはスクラッチを開けた瞬間にわかりますので、なぜ間違ったかについてはアピールの時間を使ってフィードバックを受けることができます。 - RATをオンラインで実施する場合、学習者がテキストを見ないようにする対策はありますか?
【三木先生の回答】100%防ぐ術はありませんが、カメラをONにして心理的抑圧をかける、ピア評価をグループにしてもらう、などは考えられます。 - 各々の時間配分や設問数に関する目安を知りたいです。
【三木先生の回答】ユニット(テーマ)に合わせて設問数は自由に決めてもらって構いません。 - TBLをどのように使うと授業の効果が上がるとお考えですか?
【三木先生の回答】TBLでは、チームにならないと課題を解決できません。チームを作り上げるには、1コマでは時間が足りないと思います。メンバーも替えずに連続した講義でやるのが望ましいです。どうしても短い期間でやるのであれば、予習の確認であるiRATまでを事前学習に含ませるという手は考えられます。 - 1つのユニットに関して、どの部分を授業時間に行うのが良いのですか?
【三木先生の回答】TBLは「事前学習」「iRAT」「tRAT」に分かれていて、iRATまでを事前にやるという、反転授業のようなやりかたも可能です。しかし、iRATを授業時間外にやると、カンニングとまでは言いませんが、tRATをやる意味が薄れてしまうので、グループで議論する時間に重点を置いて授業設計をしていただければと思います。
【アンケート結果】
満足度の理由や参考になった箇所(抜粋)
- 落ち着いた説明で進行していただいたので、わかりやすかった。
- 動画で予習させていただいていたので、概要の把握が非常に行いやすかったです。
- 全体的にTBLの授業デザインが何となく分かったので担当する講義科目で実施してみます。
- すぐにフィードバックをすることなどは、自分の授業にもすぐに取り入れられそうです。