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詳細内容

九州大学 基幹教育院 次世代型大学教育開発センター > カリキュラム設計担当者養成プログラム(上級編) 「学習成果を可視化する-カリキュラムと評価の両面から-」

カリキュラム設計担当者養成プログラム(上級編) 「学習成果を可視化する-カリキュラムと評価の両面から-」

日時:令和元年11月15日(金)13:30-16:00
会場:九州大学 伊都キャンパス ジョナサン・KS・チョイ文化館

対応モジュール:専門的職員養成
 

┃カリキュラム設計FD(上級編)を開催しました

 

令和元年11月15日(金)にカリキュラム設計担当者養成プログラム(上級編)「学習成果を可視化する-カリキュラムと評価の両面から-」を開催しました。今回の「上級編」では、教育課程論、教育評価論の観点から、学習成果の可視化について考えました。講師を務めて頂いた松下佳代先生からは、学位プログラムレベルと授業科目レベルをつなぎながら、カリキュラムと評価をデザインするための理論と方法、及びその取組事例(医療系、工学系・文理融合教育)について講演して頂きました。また、講演の後には、参加者同士の意見交換を踏まえたリフレクションも行いました。
 

┃開催概要

開催案内(PDF) ポスター(PDF)

【日時】令和元年11月15日(金)13:30~16:00
(受付開始13:00)
【会場】九州大学 伊都キャンパス
ジョナサン・KS・チョイ文化館

【定員】70名(先着順)
【参加費】無料
【対象】学習成果に基づく大学教育に関心のある大学教職員、大学院生

【講師】松下佳代
(京都大学 高等教育研究開発推進センター・教授)

【プログラム】
1. 学習成果の可視化を意識したカリキュラムと評価のデザインについて、その理論と方法を学ぶ。
2. 取組事例(医療系、工学系・文理融合教育)を通して、その具体化のあり方を考える。


┃開催報告

【参加者情報】
学外:55名(うち県外 38名)
学内:10名
合計:65名

【アンケート結果】
《参考になった点》(抜粋)

  • 直接評価と間接評価、および学習成果について。
  • 学修成果を学習成果に紐付ける「エキスパートジャッジメント」という役割があることを初めて知った。
  • カリキュラム設計でのプログラムレベルと科目レベルの対応関係・可視化、学習成果の評価方法の多様性・評価の関係について参考になった。
  • 様々な大学の事例はとても参考になった。
  • 新潟大学歯学部の事例は、資格要請を中心とする所属学科の参考になった。特に一定のスパンでパフォーマンス評価を組み入れていく方法は、実践が伴う資格要請には重要だと思われた。
  • 他大学の方の貴重な意見が聞けて勉強になった。
  • 他大学の方々との意見交換は貴重であった。本学の取り組みについてもアドバイスを頂けた。

《分からなかった点・もっと説明してほしかった点》(抜粋)

  • 機関レベルでの検証の方法を知りたかった。
    【松下先生からの回答】機関レベルの評価については、今回は触れられませんでしたが、スライド30の機関レベル(直接指標・間接指標)をご覧ください。
  • カリキュラムを捉える3つの視点のうち、「スコープ」と「シークエンス」に関して分からなかった。
    【松下先生からの回答】カリキュラム(教育課程)の編成において、「スコープ」はどういう教育内容を選択するのかという範囲、「シークエンス」はそれをどのような順番で配列するかという順序、のことです。
  • ミネルバ大学の事例の内容が良く分からなかった。
    分野固有性と汎用性の関係について、もう少し説明してほしかった。
    【松下先生からの回答】松下佳代(印刷中)「汎用的能力を再考する-汎用性の4つのタイプとミネルヴァ・モデル-」『京都大学高等教育研究』第25号で書きましたので、ご覧ください。来年1月刊行予定、オープンアクセスです。
  • 4つの事例(山形大学・ミネルヴァ大学・新潟大学歯学部・東京都市大学)について、もう少し詳しく説明してほしかった。
    【松下先生からの回答】山形大学については、ネット上でかなり拾えると思います。ミネルヴァ大学については、松下佳代(印刷中)「汎用的能力を再考する-汎用性の4つのタイプとミネルヴァ・モデル-」『京都大学高等教育研究』第25号で書きましたので、ご覧ください。新潟大学歯学部については、講演資料の引用文献に挙げていますので、そちらをご覧ください。東京都市大学については、来年度から本格的に実施されますので、今後、発信がなされていくと思います。こちらの研修プログラムでも、来年、キーパーソンの伊藤通子先生をお招きする予定と伺っています。
  • ダニング=クルーガー論文の尋ね方や尺度と、各種アンケートで扱われる尋ね方や尺度には違いがあり、後者はかなりの多様性があると思うが、ダニング=クルーガー効果はどこまで一般化可能なのか。
    【松下先生からの回答】ダニング=クルーガー効果は「特定のパフォーマンスの相対的位置づけの自己認識のバイアス」を説明するものであり、学生調査のリッカートスケールの間接評価のうち「かなり身についている」「まったく身についていない」などのものは、結局のところ他者との相対的比較が回答の大きな手がかりになると考えられますので、このタイプの間接評価には比較的広く一般化が可能なのではないでしょうか。(ただし、頻度や時間を尋ねるような項目は相対的比較によるものではないので、該当しないと思われます。)
    ただし、ダニング=クルーガー効果のみが、教員による評価と学生による自己評価や間接評価との相関の低さの要因であるとは考えていません。ダニング=クルーガー効果は自己認識を通した評価のバイアス(測定の誤差)の中の一つであると思われます。
  • 学生のメタ認知が欠如した状態で行う間接評価が問題であれば、メタ認知を促しながら問いに答えさせる間接評価をすることで、間接評価の信頼性を高めることができるのではないか。
    【松下先生からの回答】ここで言われている信頼性とはreliabilityの意味でしょうか。それであれば、間接評価の信頼性は、何度か回答してもらったときの再現性や、同じ構成概念を測定するための項目間の相関の強さによって担保されます。
  • 学習成果は大学によって様々であり、可視化された内容についても、現在、全大学共通の様式はないが、社会に見せる場合に、将来的に統一化された内容を示すようになる可能性はあるのか。
    【松下先生からの回答】この点については、現在、中央教育審議会の教学マネジメント特別委員会で議論しており、来年の早い時期にガイドラインが出ることになっています。どの大学でも共通に示すべき基本的な情報と各大学の個性・自律性によって異なる情報とがあると思います。全国学生調査の結果を一律に公表すること(本調査ではそうなる予定)については、私自身は賛成ではありません(サンプリングの仕方や調査時期などに問題がある、ベンチマーキングではなくランキングにつながるおそれがあると考えているため)。
  • カリキュラム・評価の改革を行っていく上で、必要な教職員のスキル、組織の在り方、改革運営の実施方法などについても教えて頂ければ参考になる。「何を行うか」だけではなく、「どう行うか」は各大学とも関心の高いところではないだろうか。特に小規模私立大学の場合、常に人材難とコストの問題に悩まされており、ゆとりがない中でどのようにすればいいのか、学びたい。
    【松下先生からの回答】いくつかすぐれた取組をやっておられる小規模私立大学(前橋国際大学など)の事例から学べるのではないでしょうか。
  • 大学自らが、変わらなければならないことに気付き、行動に移すためには必要なことは何でしょうか。
    【松下先生からの回答】すべての問題解決に共通していることですが、まずは目標と現状のギャップに気づくことではないでしょうか。その前提として、自分の所属する大学・学部・学科の教育をもっとよくしたい、目の前の学生たちの学びや成長に関わりたいという気持ちが必要だと思います。

《その他》(抜粋)

  • インスティテューショナル・リサーチ(IR)に関する事例紹介などもあると有り難い。
    【事務局からのコメント】本拠点の専門的職員養成モジュールでは、「カリキュラム設計担当者養成」だけでなく「インスティテューショナル・リサーチャー養成」や「アドミッション・オフィサー養成」に関する研修会も企画しております。「インスティテューショナル・リサーチャー養成」に関する研修会は、今年度は1月と3月に開催予定です。詳細が決まり次第、本ウェブサイトやメーリングリストにて案内させて頂きます。

 

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