基幹教育院について

About Faculty of Arts and Science,Kyushu University

教員紹介

専門分野
 2017年2月に着任しました。専門は発達障害学、認知神経科学で、これまでは、主に自閉スペクトラム症という発達障害の1つである障害児・者を対象として、行動実験や脳形態・脳機能イメージングの手法を用いて研究を進めてきました。

 自閉スペクトラム症は、人とのコミュニケーションの難しさ(社会性の障害)を示すことが中核的な特徴として挙げられます。相手がどのように感じ、何を考えているのかという目に見えづらいことを理解することが難しく、このことは、いわゆる「空気を読む」ことの苦手さと言ってもいいかもしれません。私はこれまで、「なぜ社会性の障害が生じるのか」ということをテーマに、社会的なコミュニケーションをする上で必要とされる認知的な能力やその処理に関連する脳機能を解明することを目的としていました。

 このようなアプローチは、この障害がどこにあるのかという点から考えた際には、個人の能力や器質にその問題を帰着させる考え方であるといえます。つまり、障害をその個人に閉じた中で捉え、その困難さをサポートする方法を考えていくことにつながります。このようなアプローチは、障害の医学モデルといわれます。一方で、障害を、個人と社会の間に存在する障壁とする考え方(障害の社会モデル)も存在し、社会が変わることで、障害となっている問題を取り除こうというアプローチが考えられます。最近では、このような視点から、まず周囲の存在が“障害”をどのように捉えているのか、どのような態度をもっているのか、また肯定的な態度はどのように形成されるのかといったテーマにも興味を持って研究を進めています。また、兼任先であるキャンパスライフ健康支援センターインクルージョン支援推進室においては、障害学生支援に携わっており、このような周囲の態度は、特に見えにくい障害である発達障害学生への支援を推進する上でも非常に重要であると考えています。

 基幹教育における授業では、フロンティア科目として、5つの基幹教育科目(バリアフリー支援入門、ユニバーサルデザイン研究、アクセシビリティ入門、アクセシビリティ支援入門、アクセシビリティ基礎)を担当しています。これらの科目はいずれも障害だけでなく多様な人々のアクセシビリティの向上について基本的な概念や、様々な専門分野で扱われているユニバーサルデザイン、支援技術などの内容を扱っています。授業を通して、「障害とは何か?」「障害はどこにあるのか?」といった問題について、考え続けていきたいと思います。
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