その他電子メールのマナーとエチケット

身近な人に送るLINEやスマホのメッセージとは違い、電子メール(eメールや、単に「メール」とも言いますね)は一種のビジネス文書なので、電子メールの送信にはマナーやエチケットが求められます。ここでのマナーは、社会人として電子メールを送る際の一般的な礼儀作法、エチケットは、電子メールを受け取る人との関係性を踏まえた礼儀作法(敬語表現なども含む)を意味します。

学生さんが教員に送る電子メールも例外ではなく、「知らなかった」では済まされない場合が多々あります。私は、学生さんに対しては、どんなに酷い電子メールでも一発アウトとすることは無く、再チャレンジのチャンスを与えます。しかし、それでもダメな状態が続けば、相応の厳しい対応を取っています。過去には、相談、依頼、研究室の受入を拒否したり、「迷惑メール」として対応したりしたこともあります(宛名も署名も文面もない添付ファイルのみのメールなんて迷惑メール以外の何者でもない!)。

そのため、電子メールのマナーとエチケットを改めて説明しておきます。ネットに慣れ親しんだ人達に、ネットですぐ調べられる電子メールのマナーやエチケットを説明する必要は無いと思いたいのですが、大学に入るまで電子メールを書く習慣が無かった人達は、電子メールの送信にマナーやエチケットが必要であることさえ知らない事が多いのも事実です。そして、電子メールのマナーとエチケットをネット(の誰か)に丸投げするのも無責任かと思います。毎日数百通の電子メールを受信し、百通前後の電子メールを読み、十数~数十通の電子メールを返信している教員や研究者や社会人の我々(少なくとも私)と学生さんはメールに対する「常識」が大きく違うことを念頭に置き、ここで電子メールのマナーとエチケットについて書いておきたいと思います。

電子メールのマナー

  • 教員に送る電子メールはビジネス文書です。読む人に必要な情報を論理的に的確かつ簡潔に伝えましょう。特に、現在の大学教員は多忙を極めており、スケジュールが分刻みで埋まっていることも多々あります。その時間を削って読んでもらうということを肝に銘じて下さい。
  • PCやタブレット端末から送信するのが基本ですが、やむを得ず携帯電話やスマートフォンから電子メールを送る際は、相手のメールアドレスを迷惑メールフィルタから外すことを絶対に忘れないでください。この人からのメールは必ず受信するという「ホワイトリスト」に登録しておくと確実です。スマホ等から岡本にメールして遅くとも数日以内に返事が無い場合は、岡本が返事をしていないのではなく、あなたが受け取れていないことがほとんどです。
  • 件名は、電子メールの内容を具体的に表す短い言葉で「必ず」書きましょう。件名を入れない電子メールは単なる迷惑メールです!
  • 本文は、宛名、内容、署名の順で、それぞれを「必ず」書きましょう。
  • 宛名は、誰に送った電子メールかを明確にするために必要です。人やサーバが電子メールのアドレスを間違えて、送りたい相手以外の人に電子メールが届くこともあります。本来なら「基幹教育院 准教授 岡本剛先生」のように所属、肩書き、敬称を付けるのが基本ですが、学内で授業に関する問い合わせであれば、「岡本先生」のように簡略化したものでも構いません。
  • 内容は、時候の挨拶は不要ですが、書き出しに「(科目名)を受講している、○○学部の△△△と申します。いつもお世話になっております。」、最後に「よろしくお願いいたします。」くらいは添えましょう。電子メールはビジネス文書であり「手紙」です。要件のみ1行などは手紙ではなく単なるメモです。電子メールの受信リストの差出人情報だけでは誰からの電子メールかがわからない事があるので、書き出し直後に名乗った方が丁寧です。
  • 本文1行あたりの文字数は、全角換算で30字前後としてください(読みやすいところで適宜改行する。ただし英文メールの場合は、パラグラフ内では改行しない)。パラグラフとパラグラフの間には空行を1行入れ、読みやすくなるよう心がけましょう。
  • 電子メールの形式は、テキスト形式にしてください。インターネット・ブラウザで読み書きできるウェブメールの場合は、HTML形式が標準となっていることもあるかもしれませんが、電子メールの標準はあくまでも(プレーン)テキスト形式です。
  • 1通の電子メールには1つの用件を簡潔に書くのが原則です。一瞥して内容が理解できる簡潔な文章を心がけましょう。また、親しい間柄である場合を除き、主用件に関係ないことをあれもこれも書いてはいけません。
  • 本文の最後には、署名を「必ず」付けましょう。ここも本来なら「所属、(肩書きがあれば肩書き)、学生番号、氏名、電子メールアドレス、電話番号」などを一通り書くべきですが、学内で授業に関する問い合わせであれば、「所属、学生番号、氏名、電子メールアドレス」程度で構いません。
  • 以上の「書き方」を踏まえたサンプルを下に載せておきます。これは、脳科学入門という授業を受講している九大太郎さんが、レポートの改訂版を電子メールで提出する、という状況を想定したものです。

電子メールのエチケット

  • 教員に電子メールを送る場合、学生と教員という関係性を考え、くれぐれも失礼の無いような表現を心がけましょう。過度に畏まる必要はありませんが、「〇〇と申します。」「お世話になっております。」「お忙しいところすみませんが、・・・していただけませんでしょうか?」「承知しました。」「よろしくお願いいたします。」など、貴重な時間を割いて読んでもらい、さらに時間を割いて何らかの対応をしてもらうということを肝に銘じて下さい。教員は、みなさんの想像の数倍から10倍程度の種類・量の仕事を常にこなしており、時間の余裕はありません。教員に対する敬語表現も調べておくべきです。
  • 後で対応可能なのが電子メールの利点の一つですが、休日前日の夜や休日に電子メールを送ることは避けて下さい。緊急事態等に備え、私は基本的にいつでも電子メールをチェックしています。私の休日を削って、緊急ではないメールを読ませるのはエチケット違反です。
  • 当然のことですが、可能な限り誤字脱字が無いよう、送信前に何度も読み返しましょう。特に、名前を間違えるのは極めて失礼です。例えば、みなさんが就職後、取引先の名前を何度も間違えるようなことをすれば、どういう事態になるか想像してみて下さい。
  • 教員から返事をもらった後は、返事を受け取ったことの確認も兼ねて簡単なお礼のメールを「早めに」「必ず」出しましょう。返事のもらいっぱなしはNGです。自分から何かの頼み事をした場合は、自分のお礼メールで締めくくる、という習慣を身に付けてください。
  • 教員と一対一で電子メールのやり取りをする場合、その内容は私信となるため、教員に無断で第三者に内容を転送することは避けて下さい。必要な場合は、事前に問い合わせて承諾を得て下さい。

ここで書いている電子メールのマナーやエチケットは、教員とのやり取りだけにとどまらず、多くのみなさんにとって将来必要となるものです。しっかりと理解し、守るよう努力してください。なお、これを守れるのであれば、質問や相談は遠慮せず、どんどんしてもらって構いません。誠実な相談や依頼には最大限誠実にお答え・お応えいたします。

公開日: 2020年05月22日
最終更新日: 2023年03月24日