研究研究内容
このページでは、本研究室における研究内容の全体像を紹介します。 主な研究の柱、代表的な研究例、研究手法を通じて、研究室が取り組むテーマの広がりを概観します。
研究の全体像
本研究室では、視覚・嗅覚・温熱などの感覚応答を切り口としながら、 思考やモチベーションといった高次機能へと研究を接続しています。 脳の情報処理メカニズムを解明すると同時に、 動機づけや発想力を高める方法論の探究にも取り組んでいます。 近年は、実社会に近い条件で脳波や生体信号を測定する「フィールド脳科学」と、 未来の視点を導入する思考枠組みである「フューチャー・デザイン」を統合し、 未来脳科学の枠組みとして体系化を進めています。
このページでは、研究室の主な研究の柱と代表的な研究例を紹介します。より概念的な整理については、未来脳科学をご覧ください。
感覚から高次機能へ:思考・モチベーションに接続する脳科学
私たちは、感覚入力(視覚・嗅覚・温熱など)が感情や認知に影響を与え、 さらに思考やモチベーションの質へとつながるプロセスに関心を持っています。 感覚は扱いやすい入口である一方で、そこから高次機能へと接続するためには、 実験設計・解析・モデル化を含む慎重な研究が必要です。
嗅覚研究では、分子レベルから行動・脳活動までを横断する医農理工文連携プロジェクトを主導し、 専門分野の異なる研究者と協働しながら研究を展開してきました。
代表的な研究例として、以下のテーマに取り組んできました。
- サル一次視覚野の方位選択性に関する生理実験・計算モデル研究
- 匂い刺激が作業記憶や感情に与える影響のEEG研究
- 嗅覚と概日リズム・睡眠時嗅覚ゲーティングに関する研究
これらはいずれも、感覚入力から思考・モチベーションへと接続する神経基盤を探る研究です。
フィールド脳科学:実環境での計測と体験の評価
実験室内の厳密な実験に加え、実社会の環境に近い条件で脳波や生体信号を測定する 「フィールド脳科学」に取り組んでいます。 温熱環境、空間素材、匂い、焚き火など、現実の体験が思考や感情に与える影響を、 実環境での計測によって検証しています。
代表的な研究例として、以下のようなテーマに取り組んできました。
- 温熱環境の快適性評価研究
- 木材素材が居住空間の心理・生理評価に与える影響の研究
- 屋外焚き火環境における脳波変化の統合解析(著書『焚き火の脳科学』)
企業や自治体との共同研究では、評価指標の設計や社会実装の可能性も視野に入れています。
ニューロフィードバック:脳機能の変容を目指す介入研究
脳活動を計測するだけでなく、ニューロフィードバック等を用いて 脳機能の能動的変容を目指す介入研究も進めています。 これは、思考やモチベーションの“機序の理解”と“高める方法”を往復させる枠組みです。
- リアルタイムEEGを用いたニューロフィードバック技術の開発
- 3日間訓練による長期記憶向上の実証研究
- スポーツ現場(男子テニス日本代表合宿)での応用実践
未来の視点を導入する思考枠組み(フューチャー・デザイン)
フューチャー・デザインは、 未来の視点から現在の意思決定や制度設計を捉え直す方法論です。 本研究室では、それが思考の質や内発的動機づけに与える影響を、 脳科学的観点から検討しています。
- フューチャー・デザイン学会での研究報告
- プラスチック問題を題材としたFD実践研究
- 財務省・研究機関との連携による教育実践
私たちの関心は、単なる意思決定結果ではなく、 思考の質そのものや内発的動機づけが立ち上がるプロセスにあります。
研究手法
- 脳波(EEG)・心電図(ECG)等の生体信号計測(実験室/実環境)
- 事象関連電位(ERP)解析
- 統計解析・機械学習・因果推論
- リアルタイム信号処理を用いた介入設計
- 神経画像解析、位相同期解析、ベイジアンネットワークを用いた因果構造解析など
学生・共同研究の方へ
研究テーマやアプローチは、学生の興味関心や共同研究の展開に応じて柔軟に広がります。 実験・解析・理論のいずれにも挑戦したい方を歓迎します。 地道に積み上げる研究と、新しい発想の両立を目指しています。
共同研究をご検討中の皆様も歓迎します。 関心のある方は、ご案内からご連絡ください。
初版公開: 2014年08月13日
大幅改訂: 2026年02月18日
最終更新: 2026年04月15日